学会について

第8回(2011年度)日本アレルギー学会学術大会賞受賞者

第8回日本アレルギー学会学術大会賞は、第23回春季臨床大会、第61回秋季学術大会において発表された未発表の研究業績を対象として、学会誌および学会ホームページで公募、応募者13名について、2012年3月29日の学術賞選考委員会にて選考を行い受賞候補者5名を選出、5月11日の理事会において、下記のとおり受賞者を決定しました。
授賞式は、5月12日第24回春季臨床大会時の社員総会に引き続いて催された会員懇親会にて行われました。

受賞者(敬称略 五十音順)

長崎忠雄(京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学)
「成人喘息患者における好酸球性炎症に対する喫煙歴の影響:アトピー素因・加齢の影響を含めて」
  ◆受賞論文:Allergology International Vol.62 No.2掲載
受賞理由:本研究者は、成人喘息において既知の喫煙による悪影響を、好酸球炎症とアトピー素因及び加齢との関連において多変量解析の手法を導入して検討した。現喫煙者、過去喫煙者ともに非喫煙者に比較して、加齢による血清IgE値の低下を減弱させかつ末梢血好酸球数を上昇させるなど好酸球性炎症を維持・増強する現象を見いだし、従来の喫煙喘息における好中球性炎症以外の機序を明らかにするなど気管支喘息の病態解明に貢献した。
萠拔陽子(京都府立医科大学耳鼻咽喉科頭頸部外科)
「アレルギー性鼻炎マウスモデル鼻粘膜におけるマスト細胞/好塩基球の動態とIL-33の病因的役割」
  ◆受賞論文:アレルギー Vol.63 No.8 掲載
受賞理由:本研究者は、ブタクサ花粉によるアレルギー性鼻炎マウスモデルを新規に作成し、鼻粘膜局所への好酸球浸潤のみならず好塩基球も抗原刺激後に著明に浸潤していることを明らかにした。さらに鼻粘膜上皮細胞核内に局在しているIL-33がアレルギー性鼻炎マウスでは低下していることより、IL-33は抗原暴露刺激により細胞外へと分泌されることを想定し、in vitro実験によりIL-33がマスト細胞からのヒスタミン産生を増強することも明らかにした。これらはアレルギー性鼻炎の病態解明と治療法開発へ向けて貴重な研究である。
平郡真記子(広島大学大学院医歯薬保健学研究院統合健康科学部門皮膚科学)
「広島大学病院皮膚科での食物依存性運動誘発アナフィラキシーのまとめ2010」
  ◆受賞論文:アレルギー Vol.60 No.12 掲載
受賞理由:本研究者は、近年注目されている小麦依存性運動誘発性アナフィラキシーの一施設における多数例を解析した。加水分解小麦含有石けん使用例とそうでないものとの比較を行い、加水分解小麦含有石けん使用例では特異IgE抗体もさることながらヒスタミン遊離試験においてグルテニンに対する反応性が高いことを確認した。さらに加水分解小麦によるヒスタミン遊離反応も陽性であることを確認するなど、当該患者の経過観察上有用な検査手法であることを示した。
森田英明(独立行政法人国立成育医療研究センター研究所免疫アレルギー研究部)
「新生児-乳児消化管アレルギー患者におけるミルク蛋白特異的サイトカインプロファイル」
  ◆受賞論文:Allergology International Vol.62 No.3掲載
受賞理由:本研究者は、新生児-乳児消化管アレルギーは従来のIgE依存性食物アレルギーの消化管症状とは病態が異なることを提示しているが、新たに市販の牛乳精製抗原からLPSを除去することによって、当該患者の牛乳抗原刺激によるT細胞反応性を検出できることを示し、さらに活性化T細胞によるサイトカインの産生状況も本疾患でいわれている4型のクラスターによって異なる可能性を示した。今後の更なる病態解明に寄与する研究である。 
柳瀬雄輝(広島大学大学院医歯薬保健学研究院統合健康科学部門皮膚科学)
「細胞屈折率可視化技術を利用した次世代アレルギー診断法の開発」
  ◆受賞論文:Allergology International Vol.62 No.2掲載
受賞理由:本研究者は、表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance, SPR)センサを利用しマスト細胞の活性化を検知できる技術を発展させ、超微量の好塩基球の抗原刺激による応答性を継時的に計測できる方法を開発した。生細胞の屈折率変化を可視化するという新規概念による指標を利用して、1個の好塩基球レベルでその抗原と特異IgE抗体による応答性を検出できる技術は、まったく新しいアレルギー検査・診断システムの開発に繋がる貴重な研究である。

 

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