研修医・大学院・医局勤務・専門性を持った診療の人生といった単線の将来設計が主だったのは一昔も二昔も前のお話し。様々な理由で大学病院や大病院の分業化された診療体制から外れてみると、目の前に見なければならない病気に、アレルギー疾患を考慮する患者さんの多いことに驚かされます。小さい子どもの湿疹病変、長引く咳、食物摂取後の湿疹・嘔吐。花粉症や舌下免疫療法の相談などなど。
健康バラエティ番組にも毎回のようにアレルギー疾患が取り上げられ、アレルギー事故のマスコミ報道などとも合わせ、今、世の中では小児でも成人でもアレルギー疾患の認知度が上昇しています。さらに保護者や患者自身がインターネットで調べることが出来る時代です。生半可な知識では保護者や患者さんの信頼を失います。小児でも成人でも、医療としての専門性と患者側の要求水準が高く、遭遇頻度の高い疾患がアレルギー疾患です。それゆえ、医師としてサバイバルするには「アレルギー専門医」は、開業・市中病院の勤務医の皆さんにも好適な資格です。30代、出産休職後のキャリアアップとして、また市中病院にでて、もうひと味自分の診療能力を加えたい時、50代を迎えてそろそろ自分の医師キャリアの完成に向けて、といずれのタイミングでも、内科・小児科・眼科・耳鼻科といったバックグランドの領域にかかわらず、自らをアップグレードするための貴重なツールとして「アレルギー専門医」はとても有用です。現在アレルギー科を標榜している方の30%しか「アレルギー専門医」を取得していないともいわれています。「本物」になることは、みなさんにとっての正しい「差別化」にもつながります。
これアレルギーなんですか?と患者さんに尋ねられて、エビデンスのある回答をできる医師になりたいと思いませんか?アレルギー専門医取得はそれを叶えてくれる第一歩になるはずです。但し「アレルギー専門医」を取得しても、それは例えば「アレルギー道」の黒帯の初段をとっただけのこと。とても進歩の早い領域なので、継続的な研鑽が不可欠であることはどうかお忘れなく。