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アレルギー診療での生物学的製剤(内科)

更新日時:2018年6月5日

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生物学的製剤とは、最先端のバイオテクノロジー技術によって生み出された医薬品であり、生物から産生されるタンパク質などの物質を応用して作られた薬のことを言います。その命名は、ヒト化抗体(humanized Ig)は、“-ズマブ(-zumab)”、マウス蛋白とのキメラ型(chimeric Ig) は、“-キシマブ(-ximab)”、完全なヒト抗体(human Ig)は、“-ウマブ(-umab)”とされています。

関節リウマチ領域においては、すでに2003年から国内での使用が開始されています。喘息における生物学的製剤は、2009年から使用されており、分子標的治療薬としてヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤「抗 IgE:オマリズマブ(omalizumab)」が最初に認可されています。オマリズマブは、IgEがマスト細胞、好塩基球等の細胞表面に結合するCε3に対する抗体であり、その作用は、血中のIgE、IgE受容体、IgE産生を抑制します。最重症持続型喘息に対する「治療ステップ 4」の選択薬に位置付けられています。60%の喘息患者に有効とされており、1059例の使用で1例だけアナフィラキシー反応が生じたと報告されています。有効例を確実に予測する指標は現時点ではありません。慢性蕁麻疹に対しても効果があり、効能に追加されました。

メポリズマブ(mepolizumab)とベンラリズマブ(benralizumab)は、インターロイキン(IL)-5に対する生物学的製剤です。前者は血中の好酸球数が高値の重症喘息患者に有効で、4週毎の投与によって、発作を53%減少、また、経口ステロイドを50%減少する効果があるとされています。ベンラリズマブはIL-5受容体に対する生物学的製剤であり、NK細胞などの作用を誘導して好酸球のアポトーシスをも誘導できる特徴をもちます。ベンラリズマブは、重症喘息患者に対して、最初の3回は4週毎、その後は8週毎の投与で、喘息発作や経口ステロイド使用量を減少することが示されています。

今後、期待されている生物学的製剤として、デュピルマブ(dupilumab)があります。デュピルマブは、IL-4受容体αに対する生物学的製剤です。重度の喘息発作(増悪)回数の減少、肺機能の改善が期待されます。また、アトピー性皮膚炎の有効性についても報告され国内で認可されています。

今後もアレルギー領域にて使える生物学的製剤が、増えてきます。さらに興味のある先生方は、最新の綜説を探索してみてください。

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