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食物アレルギー診断のための負荷経口試験(小児)

更新日時:2018年5月17日

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食物経口負荷試験は、食物アレルギーの最も確実な診断法であり、確定診断および耐性獲得の確認を主な目的として実施するものです。ただし、単純に食べればいいというものではなく、食物摂取に関連した誘発症状の詳細な病歴、基礎疾患、合併症、免疫学的検査データを参考にリスクを評価し、適切な総負荷量、実施時期および方法を決定します。

この、どのような患者に対して、どのような経口負荷試験のスケジュールをたてるか、というのがアレルギー専門医の腕の見せ所です。できるだけアナフィラキシーを引き起こさずに、安全摂取量を決定し、そのお子さんにとって必要最小限の除去ですむようなレベルを経口負荷試験の結果から導き出すのです。もちろん、100%安全な検査というのは困難ですのでアナフィラキシーが誘発されたときの備えは十分に行います。特に万が一に備えてアドレナリンがいつでも筋注できるような体制にしておくとともに、アナフィラキシーと判断したら速やかに加療することが重要です。

最近は乳児期に「怖いからなんとなく除去している」よりも鶏卵などは微量でも摂取していた方が鶏卵アレルギーを防ぐことができるといったエビデンスも出来てきていますので、乳児に対しても必要に応じて経口負荷試験を行うようになってきています。乳幼児はまだ自分で症状を訴えることが困難ですので、如何に安全な経口負荷試験が行えるかが大変重要です。

特異的IgE抗体の検査は、診断の補助としてとても有用ではありますが、これだけで診断することはできません。多抗原に感作がみられた場合、感作のみで安易に除去を指導してしまうと栄養バランスの問題、患児・保護者のQOLの問題なども抱えますので、やはり経口負荷試験などで現在の摂取量を正しく把握するとともに、その後の適切な栄養指導が重要になります。例えば、現在牛乳相当で5ml程度摂取可能になってきた牛乳アレルギーの患者であれば、乳を含む加工品がどの程度まで食べられるかを伝えることで食生活の幅が広がります。

今後ますます食物経口負荷試験の必要性は高まりますので、より安全かつ有用な摂取方法のエビデンスが蓄積されることが期待されます。

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