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アレルギー鼻炎に対する舌下免疫療法

更新日時:2018年5月23日

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アレルゲン免疫療法(allergen immunotherapy)は、アレルギー性鼻炎の長期にわたる臨床的寛解を期待できる治療法です。従来は、皮下注射法による皮下免疫療法(subcutaneous immunotherapy: SCIT)が行われていましたが、アナフィラキシーショックなどの全身性副反応や、頻回の通院による負担の軽減のため、口腔底に治療抗原を投与する舌下免疫療法(sublingual immunotherapy: SLIT)が普及しつつあります。SLITは、1980年代から海外で開始された比較的新しい治療法ですが、本邦においては、スギ花粉症に対するSLITが2014年から開始され、ダニを原因とする通年性アレルギー性鼻炎に対するSLITは2015年から開始されました。そのため、現時点でのSLITの適応は、①スギ花粉またはダニが原因となるアレルギー性鼻炎患者、②一般的な薬物療法でアレルギー性鼻炎の症状やQOLを十分にコントロールできない患者、③ アレルギー性鼻炎の臨床的寛解を希望する患者、となります。一方、重症喘息を合併する患者は禁忌となり、β遮断薬を服用する患者や治療開始時に妊娠している患者は控えるべきです。

現在、スギ花粉症に対するSLIT製品としては、シダトレン®スギ花粉舌下液と、より高力価で室温保存が可能なシダキュア®スギ花粉舌下錠(発売予定)があり、ダニを原因とする通年性アレルギー性鼻炎に対するSLIT製品としては、ミティキュア®ダニ舌下錠とアシテア®ダニ舌下錠があります。SLITを行うためには、まず関連学会主催の講習会やe-ラーニングを受講し、さらに前述した製品毎に設けられたe-ラーニングをそれぞれ受講しなければなりません。テストに合格し、緊急搬送先医療機関名を登録すると処方が可能となります。SLITは、SCITと比較して全身性副反応の発生が少ないとはいえ、万一の際に対応できる体制は整えておかなければなりません。

SLITは、SCITのような閾値検査は必要とせず、すべての患者に同じスケジュールで治療抗原を投与できます。増量期(製品毎に異なる)の後、維持量の投与を一般的には3~5年行う必要がありますが、SLITは全身性副反応が少ない反面、軽度の局所反応は投与開始後1~2ヵ月に高率に発生するため、不安になり途中で脱落する患者も多いです。そのため、SLITの治療アドヒアランスの維持には、治療前の十分な説明とその後の定期的な管理が不可欠です。

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