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第12回(2015年度)日本アレルギー学会学術大会賞受賞

更新日時:2018年1月19日

第12回(2015年度)日本アレルギー学会学術大会賞受賞者

第12回日本アレルギー学会学術大会賞は、第64回学術大会において発表された研究業績を対象として、学会誌および学会ホームページにて公募、応募者13名について、2015年11月30日の学術賞選考委員会にて受賞者の選考を行い、受賞候補者5名を選出、12月11日の理事会において受賞者を下記のように決定しました。
授賞式は2016年6月17日第65回学術大会時の社員総会にて行われました。
 

受賞者(敬称略 五十音順) 

伊沢久未(順天堂大学大学院医学研究科アトピー疾患研究センター)
「マウスおよびヒトLMIR3のリガンド同定と機能解析」
   ◆受賞論文:アレルギーVol.66 No.1掲載
受賞理由:著者らはこれまでに、細胞外脂質のセラミドがマウスマスト細胞に発現する leukocyte mono-immunoglobulin-like receptor (LMIR) のリガンドとして機能し、FcεRI を介する活性化を抑制することを明らかにしている。本研究ではセラミドおよびスフィンゴミエリンがヒト LMIR のリガンドとして同様の機能を有することを明らかにした。本成果はアレルギー疾患の新規治療法の開発にも示唆を与えるものであり、優れた研究であると評価された。

受賞者のコメント:この度は日本アレルギー学会学術大会賞を賜り、大変光栄に存じます。大学院入学時よりご指導いただいております北浦次郎先生(順天堂大学アトピー疾患研究センター先任准教授)に心から御礼申し上げます。また、研究支援をしていただいている小川秀興先生(順天堂大学理事長)、奥村康先生(順天堂大学アトピー疾患研究センター長)をはじめ多くの関係者の方々に深く感謝を申し上げます。これまで、ペア型免疫レセプターに属するCD300fのリガンドを同定し、CD300fのアレルギーにおける役割を解明してまいりました。この受賞を励みに、さらにアレルギー・炎症の制御に関する研究を継続していきたいと思っております。今後とも、皆様からのご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
徳永貴広(福井大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
「次世代シーケンサーを用いたWhole transcriptome解析(RNA-seq)による好酸球性副鼻腔炎関連遺伝子の同定」
    ◆受賞論文:Allergology International Vol.66 No.4掲載
受賞理由:著者らは、次世代シーケンサーによる網羅的な解析により、これまでマイクロアレイでは同定できなかった好酸球性副鼻腔炎の関連遺伝子を同定された。不明な点が多い好酸球性副鼻腔炎の優れた検討として、受賞に価すると評価された。

受賞者のコメント:この度は第12回日本アレルギー学会学術大会賞を賜り、大変光栄に存じます。これまでご指導いただきました筑波大学遺伝医学教室 野口恵美子教授、福井大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科 藤枝重治教授をはじめ、本研究に携わって頂いた多くの関係者の方々に深く感謝を申し上げます。
好酸球性副鼻腔炎は、難治性再発性の副鼻腔炎として注目され、JESREC Studyにより診断アルゴリズムも構築されました。しかしその難治性のメカニズムは種々に議論されてはおりますが、いまだ解明すべき点が多く残されていると思われます。本研究で同定されたTRPV3の機能解析をさらに進め、今後の臨床への応用につなげられるよう、この受賞を励みにより一層精進して参ります。
長崎忠雄(京都大学医学部附属病院呼吸器内科)
「Using exhaled nitric oxide and serum periostin as a composite marker to identify severe/stroid-insensitive asthma」
     ◆受賞論文:Allergology International Vol.67 No.1掲載
受賞理由:治療抵抗性で増悪を起こしやすい喘息患者の層別化は喘息の管理・治療における重要な課題であり、そのためのバイオマーカーの探索が求められている。著者らは、呼気NOと血清ペリオスチンを組み合わせることにより、最重症・ステロイド低感受性喘息群を同定し、増悪リスクが高い群を同定できる可能性を示した。本研究結果は、今後のアレルギー診療に大きく寄与するものと思われる。

受賞者のコメント:この度は第12回日本アレルギー学会学術大会賞を受賞させていただき、感激しております。このような名誉ある賞を賜りましたのも、京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学 松本久子先生、KiHAC(近畿北陸気道疾患研究会)代表世話人の東田有智先生をはじめとしましてご協力いただいた諸先生方のご指導とお力添えに恵まれましたおかげです。心より、多くの関係の方々に深謝申し上げます。
今回の研究では、吸入ステロイド治療下でも遷延する好酸球性炎症のバイオマーカーパネルとして呼気NOと血清ペリオスチンの組み合わせを示しました。遷延性好酸球性炎症に対する治療に関しましては今後、さらなる取り組みが必要と考えています。今回の受賞の経験を励みとし、ますます研究に取り組んでいきます。今後とも、皆様からのご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
松下一史(兵庫医科大学先端医学研究所アレルギー疾患研究部門)
「気道への花粉曝露によるIL-1ファミリーサイトカインを介した抗原特異的IgEの誘導」
  ◆受賞論文:アレルギーVol.66 No.3掲載
受賞理由:本研究は、MyD88・IL-18 KOマウス、キメラマウス、IL-1R1抗体などを用い、花粉暴露マウスを解析し、花粉暴露によって産生されるIL-1α/βならびにIL-18が、B細胞特異的MyD88シグナルを活性化することで抗原特異的なIgEおよびIgG1産生に関与していることを明らかにしたものであり、非常に優れた研究であると評価された。

受賞者のコメント:この度は第12回アレルギー学会学術大会賞を賜り大変光栄に感じております。
近年は組織特異的な免疫応答の解明が進み、臓器ごとの免疫応答を理解することが様々なアレルギー疾患の治療には不可欠であることが分かってきています。本研究では腹腔内やフットパッドへの免疫とは異なり、肺での花粉抗原曝露によって誘導されるIgE産生にはB細胞のMyD88、ならびにIL-1ファミリーサイトカインが関与することを明らかにしました。本研究は肺でのIgE産生の特殊性を示すものとなり、IgE産生などという古典的なテーマであってもまだまだ明らかになっていないことが多いことを痛感しました。今回の受賞を励みに、一つでも多くのアレルギーに関する謎を解明できるよう精進していきたいと思います。
最後に、私が自立した研究者になれるよう一貫したご指導をしていただいている当研究室教授・善本知広先生、ならびに常に研究をサポートしてくださっている研究室の皆様に深く感謝いたします。
柳瀬雄輝(広島大学大学院医歯薬保健学研究院皮膚科学)
「血管内皮細胞の組織因子発現に対するヒスタミンの影響」
受賞理由:著者らは、生理的に常に血液に曝されている血管内皮細胞が、蕁麻疹の病態で中心的役割を果たすと考えられているヒスタミンに反応して組織因子を発現することに着目し、ヒスタミンの単独作用の他、グラム陰性桿菌に含まれるリポポリサッカライド(LPS)とも相乗的に反応して強い組織因子発現をもたらすことを証明した。この結果は、これまで長い間説明できなかった慢性蕁麻疹の自発的な膨疹の出現と感染による悪化を説明し得る全く新しい知見であり、優れた研究であると評価された。

受賞者のコメント:この度は、栄えある第12回日本アレルギー学会学術大会賞を賜りましたこと、大変光栄に存じます。本研究を進めるにあたり、ご指導・ご助言をいただきました秀道広教授をはじめとする広島大学皮膚科学教室のスタッフに深く感謝申し上げます。本研究を通して、血液凝固異常と蕁麻疹の密接な関係を証明することができれば、これまでほとんど解明されていなかった慢性蕁麻疹の発症・増悪サイクルの一端を明らかにし、難治性アレルギー疾患である慢性蕁麻疹の病態解明、さらには効果的な薬物治療ターゲットの探索に繋がると期待しています。

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