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第14回(2017年度)日本アレルギー学会学術大会賞受賞者

更新日時:2018年1月25日

 第14回(2017年度)日本アレルギー学会学術大会賞受賞者

第14回日本アレルギー学会学術大会賞は、第66回学術大会において発表された研究業績を対象として、学会誌および学会ホームページにて公募、応募者9名について、2017年11月7日の学術賞選考委員会にて選考を行い、受賞候補者4名を選出、12月15日の理事会において下記のとおり受賞者を決定しました。
授賞式は2018年6月22日第67回学術大会時の社員総会にて行われる予定です。
 

受賞者(敬称略 五十音順) 

伊藤 崇(千葉大学医学部附属病院アレルギー・膠原病内科)
「IL-22は気道上皮からのReg3γの産生を誘導し、チリダニ誘導性アレルギー性気道炎症を抑制する」
受賞理由:申請者らは、IL-22遺伝子をノックアウトするとダニ抗原による喘息症状が増強することに着目し、網羅的遺伝子解析、FACS解析、中和抗体等の手法を駆使してその機序を解析した。その結果、IL-22が既知のT細胞サブセットとは異なるTh細胞サブセットにより産生され、細胞内転写因子のSTAT3、および抗菌ペプチドのReg3γを介してタイプ2の自然免疫反応を抑制することを証明した。これらは気道アレルギー炎症の理解と制御の道を大きく切り拓く研究と評価された。

受賞者のコメント:この度は第14回日本アレルギー学会学術大会賞を賜り、大変光栄に存じます。ご指導いただきました千葉大学大学院医学研究院 アレルギー・臨床免疫学 中島裕史教授、廣瀬晃一准教授 (現国際医療福祉大学主任教授)をはじめ、本研究に協力いただいた多くの方々に心より感謝の念を申し上げます。
本研究ではIL-22が抗菌ペプチドとして知られるReg3γを介してアレルギー性気道炎症を抑制することを明らかにしました。今後も今回頂きました賞を励みに、引き続きアレルギー疾患の病態を解析し、基礎研究と臨床の橋渡しができるように精進していきたいと考えております。今後ともご指導・ご鞭撻の程、宜しくお願い致します。
岩本和真(広島大学病院皮膚科)
「アトピー性皮膚炎由来の黄色ブドウ球菌と皮膚免疫の解析」
受賞理由:申請者は、アトピー性皮膚炎(AD)患者の皮膚表面に高率に付着する黄色ブドウ球菌が皮膚ラングハンス細胞を活性化し、T細胞をTh2に分化誘導する働きがあることを臨床検体で明らかにした。この誘導能は、AD患者皮膚から分離された黄色ブドウ球菌株に特徴的であり、黄色ブドウ球菌コントロール株や表皮ブドウ球菌には認められない特徴であった。この知見は、皮膚の細菌叢を標的とした新たなAD治療結びつくことが期待される優れた研究であると評価された。

受賞者のコメント:この度は日本アレルギー学会学術大会賞を賜り、大変光栄に存じます。
現在、皮膚の細菌叢とアトピー性皮膚炎(AD)の発症には深い関わりがあることが明らかになりつつあります。本研究では、AD患者の皮膚に定着している黄色ブドウ球菌(AD株)が、標準的な黄色ブドウ球菌株とは異なる免疫反応を示すことを明らかにしました。今回の研究を通じ、皮膚のバリア機能のみならず、定着している黄色ブドウ球菌の株の違いも、ADの病態には重要であることを感じました。AD株自体の特性や、皮膚への定着性などについてはまだ解析が十分ではありませんが、今後、AD特有の黄色ブドウ球菌株をターゲットとした病態解明、新規治療へと繋がるように研究を発展させたいと思います。本研究にあたり、秀道広教授をはじめとする広島大学皮膚科学教室の皆様、共同研究者の細菌学教室の皆様に心より感謝申し上げます。
佐藤和秀(名古屋大学高等研究院/名古屋大学大学院医学系研究科病態内科学講座呼吸器内科)   
「Development of the method for local immunotherapy; practical manipulation of the local immune system with near-infrared light」
受賞理由:申請者は、細胞表面の抗原に特異的な抗体に近赤外線に反応するプローブを付け、局所的に近赤外線を当てることで細胞死を誘導するNear-Infrared photoimmunotherapy (PIT)を見出し、その基礎的検討を行った。本方法は、生体の局所免疫系を光により調整する技術であり、これまで遺伝子導入に頼ってきた免疫系の実験系へ応用したり、遺伝子によらない後天的な免疫異常を来す疾患の機序解明などに応用できると期待される。

受賞者のコメント:この度は、第14回アレルギー学会学術大会賞を賜り、大変光栄に存じます。この名誉ある賞をいただくことが出来たのも、ご指導頂いた米国立衛生研究所の小林久隆先生、名古屋大学呼吸器内科の長谷川好規先生を始めとする共同研究者の諸先生方のお陰であり、深く感謝を申し上げます。さらには、このような素晴らしい開かれた学術総会を企画・開催いただいた、大会長の土橋邦生先生を始め大会関係者、学会関係者の先生方、選考委員長の秀道広先生、私の発表の座長をしていただいたFriedrich-Wilhelms-Universitat BonnのNatalio Garbi先生に感謝申し上げます。
本研究は、光を当てる場所と時の制御により、光にのみ反応する化学物質を付加した抗体を用いる事で、局所のみで免疫を調整する仕掛けを考案し実現したものです。今後は、本方法を難治である免疫疾患・アレルギー疾患に応用し、より実臨床に応用可能な治療法開発を行って参りたいと思っております。
最後に、この光栄な受賞を励みに今後も、臨床課題を大切にし、臨床応用を目指して研究、開発、臨床に邁進する所存であります。
松井照明(あいち小児保健医療総合センターアレルギー科)
「ビタミンD欠乏による食物感作の促進と食物アレルギーの増悪に関する検討」
受賞理由:申請者はBALB/cマウスのOVA感作モデルを作成し、ビタミンD充足飼料、または欠乏飼料を与えたControl群、Deficient群の2群にて、食物アレルギーの症状やOVAの感作程度について群間比較を行った。Deficient群ではOVA特異的IgE値の上昇や下痢スコアの上昇などの有意な変化がみられ、ビタミンD欠乏状態がアレルギー症状を増悪させることが直接的に証明された。近年、小児アレルギーの分野では、ビタミンD欠乏症と喘息等のアレルギー疾患の発症・増悪についての研究・調査が盛んであるが不明な点も多いため、今回の研究は意義深いものと考えられた。

受賞者のコメント:この度は日本アレルギー学会学術大会賞を賜り、大変光栄に存じます。大学院入学時よりご指導いただきました伊藤浩明先生(あいち小児保健医療総合センター)、本研究に関して直接ご指導いただきました、山下弘高先生、田中宏幸先生、稲垣直樹先生(岐阜薬科大学 薬理学研究室)をはじめ、多くの関係者の方々に感謝申し上げます。
本研究では、ビタミンD欠乏状態が、感作及び即時型アレルギー症状の増悪因子となることを、マウス食物アレルギーモデルにおいて初めて確認しました。今回の受賞を励みにさらに研究に取り組んでいきたいと思います。今後とも皆様からのご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願い致します。

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