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第16回(2019年度)日本アレルギー学会学術大会賞受賞者

更新日時:2020年3月18日

第16回(2019年度)日本アレルギー学会学術大会賞受賞者

第16回日本アレルギー学会学術大会賞は、第68回学術大会において発表された研究業績を対象として、学会誌および学会ホームページにて公募、応募者14名について、2019年11月5日の学術賞選考委員会にて選考を行い、受賞候補者5名を選出、12月13日の理事会において下記のとおり受賞者を決定しました。
授賞式は本年9月に開催される第69回日本アレルギー学会学術大会中に行われる予定である。

受賞者(敬称略 五十音順) 

川上 佳織(東北医科薬科大学薬学部薬学研究科病態生理学教室)
「気管支喘息増悪におけるヒトμオピオイド受容体遺伝子-塩基多型の関与」

受賞理由:申請者は、ストレス反応に関与するμオピオイド受容体遺伝子(OPRM1)の一塩基多型[A118G(rs1799971)]の検索を喘息患者で行い、A allele保有患者ではG/Gに比べて気道過敏性が亢進していることを示した。また、この遺伝子多型に相当するOprm1 G112マウスを用いて喘息モデルマウスを作成し、OPRM1 A118Gの一塩基多型が気道過敏性の亢進、好酸球増加、Th2型記憶免疫応答の亢進に関与することを示し、喘息の一つの内因性増悪機序を明らかにした優れた研究と評価された。
受賞者のコメント:この度は第16回日本アレルギー学会学術大会賞を賜り、大変光栄に存じます。このような名誉ある賞を賜りましたのも、本研究にあたりましてご指導頂きました東北医科薬科大学医学部医学教育推進センター 大野勲教授、同大学薬学部病態生理学教室 高橋知子教授をはじめとした共同研究者の諸先生方のお力添えのお陰であり、心より深く感謝申し上げます。
本研究では、気管支喘息の増悪に関与する精神的ストレスによって放出される内因性リガンドの受容体であるμオピオイド受容体をコードする遺伝子(OPRM1)の一塩基多型が、喘息病態の増悪に関与することを明らかにしました。OPRM1の一塩基多型が、環境要因と遺伝的要因を繋ぐ喘息増悪の新たな危険因子として理解されるとともに、本研究の成果が喘息増悪のリスク評価に役立ち、効果的な増悪予防に繋がることを期待しております。今回の受賞を励みに、今後も気管支喘息を含めたアレルギー性疾患の病態悪化に関与する遺伝的要因とその機序の解明を目指し、研究に精進してまいりたいと思います。今後とも皆様からのご指導、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 

木村 孔一(北海道大学大学院医学研究院呼吸器内科学教室)
「重症喘息患者における増悪状況とTh2マーカー陽性数の検討」

受賞理由:申請者らは、北海道難治性喘息コホート研究に登録された重症喘息患者の内3年間の増悪調査を完遂した105名を対象に研究を行った。いくつかのTh2マーカーが高値であることに着目し、具体的なカットオフ値を設定し臨床の場に役立てる目的で研究を行い、一定の値とそれぞれの指標の数で重症喘息患者における増悪予測ができることを見出した。臨床的に意義の大きい研究と言える点が高く評価された。
受賞者のコメント:この度は、第16回日本アレルギー学会学術大会賞を賜りまして、大変光栄に存じます。直接ご指導頂きました北海道大学大学院医学研究院・呼吸器内科学教室の今野哲教授、西村正治名誉教授をはじめ、教室員の方々に感謝申し上げます。
本研究は、北海道内各地の29の病院と連携の上、127名の難治性喘息患者を対象とした6年間の前向きコホート研究である「北海道難治性喘息コホート研究」についての解析であり、喘息の増悪頻度と好酸球性気道炎症の関連性が明らかになりました。今後の治療重点化のターゲット選択や新規治療法の開発へ繋がると信じております。この度受賞させて頂きました学術大会賞を励みに、引き続き精進して参りたいと思っておりますので、今後ともご指導、ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い致します。
最後になりますが、本研究はコホート研究の事務局、ご協力を頂いた29の病院の先生方・スタッフの方々のご協力なしにはできなかった研究であります。この場をお借りして、深謝申し上げます。
 

鈴木 正宣(北海道大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室)
「Low labile zinc level in nasal mucosa inhibits collagen production in fibroblast」

受賞理由:申請者は、アトピー性皮膚炎の発症や喘息の重症度との相関が報告されている亜鉛に着目し、まだ明らかにされていない難治性副鼻腔炎への影響について検討した。その結果、組織内低亜鉛は副鼻腔炎の病態の各ステージに影響し炎症を促進することを明らかにし、加えて、炎症によって組織内亜鉛はさらに低下し悪循環を形成していることが想定されると極めて明確に述べられていた。よって本研究は好酸球性副鼻腔炎などの難治性副鼻腔炎の治療戦略上のブレイクスルーとして、新規治療法の開発に寄与すると考えられる優れた研究であると評価された。
受賞者のコメント:この度は第16回日本アレルギー学会学術大会賞を賜り、大変光栄に存じます。日頃からご指導いただいております本間明宏先生(北海道大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教授)、中丸裕爾先生(同准教授)をはじめ、研究に携わって頂いた多くの関係者の方々に深く感謝を申し上げます。亜鉛は分子、細胞レベルから、組織、臓器、システムに至るまで、様々な生命活動に関与しております。これまでに喘息やアトピー性皮膚炎の病態における亜鉛の役割は広く検討されてきましたが、慢性副鼻腔炎に関してはあまり知られていません。本研究では、組織内の低亜鉛が慢性副鼻腔炎の病態に関与することをin vitro, in vivoの手法で明らかにしました。今回の受賞を励みに、引き続き精進してアレルギー疾患における臨床と基礎の橋渡し研究に取り組んで参ります。今後とも皆様からのご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。
 

原(野上)愛(就実大学薬学部薬効解析学分野)
「マウスと培養肥満細胞を用いたL-アスパラギナーゼ誘発アレルギーの評価」

受賞理由:L-アスパラギナーゼ(L-ASP)は小児急性リンパ性白血病の第一選択薬であるが、高頻度のアレルギー出現や中和抗体による治療抵抗性が治療上の課題である。申請者らは、L-ASPアレルギーのマウスモデルを開発し、本反応がIgEを介したI型アレルギーであり、また併用薬剤がアレルギー反応および中和抗体発現に影響を及ぼすこと、さらには抗IgE抗体が治療薬として有用であることを明らかにした。本研究の成果は、小児白血病における新規治療ストラテジーの構築につながることが期待され、今後の臨床応用も可能な優れた研究であると評価された。
受賞者のコメント:この度は、第16回日本アレルギー学会学術大会賞を賜り、大変光栄に存じます。本研究を進めるにあたり、ご指導・ご鞭撻をいただきました就実大学薬学部薬効解析学分野の見尾光庸教授や、岡山大学病院小児・血液腫瘍科の嶋田明准教授を始めとする共同研究者の皆様方に心より感謝申し上げます。本研究の対象としたL-アスパラギナーゼは、小児急性リンパ芽球性白血病の標準治療薬の一つであるにも関わらず、高頻度にアレルギー反応を発症することが問題となっており、白血病の治療完遂を困難にしています。本研究を通じて、L-アスパラギナーゼで誘発される薬物アレルギーの予見や克服、リスク管理が可能となれば、多数の小児白血病患者を救うことが出来ると期待しております。受賞を励みに、基礎から臨床へと研究が発展できるよう精進する所存です。

 

福光 研介(名古屋市立大学呼吸器・免疫アレルギー内科学)
「Pre-treatment alveolar nitric oxide level predicts improvement in forced expiratory volume in 1 second following the first treatments in patients with untreated asthma」

受賞理由:申請者は、未治療喘息患者の吸入ステロイド(ICS)治療による肺機能の改善と呼気中NO肺胞成分(CANO)の関連を解析した。その結果、未治療喘息患者のICSを含む初回治療において、LABAの継続的な使用と独立して、治療開始前のCANO値が治療開始1年後の呼吸機能(FEV1)の改善度を規定することを明らかにした。本研究はsmall airway領域のTh2型炎症が肺機能改善に寄与することを示した重要な研究である点が高く評価された。
受賞者のコメント:この度は第16回日本アレルギー学会学術大会賞を賜り、大変光栄に存じます。このような名誉ある賞を賜りましたのも、ひとえに、ご指導いただきました名古屋市立大学 呼吸器・免疫アレルギー内科学講座の新実彰男教授、金光禎寛先生をはじめ、諸先生方のお力添えのおかげであり、深く感謝申し上げます。本研究は呼気一酸化窒素濃度(NO)の肺胞成分(CANO)に着目し、未治療の喘息患者における肺機能の改善が、長時間作用型吸入β2刺激薬の継続的な使用と独立して、CANOと相関する可能性を見出しました。また、治療下におけるCANO高値が肺機能の改善不良につながっている可能性も併せて示しました。すなわち、喘息患者におけるsmall airway領域のTh2性炎症が新たな生理学的バイオマーカーとなり、肺機能改善や肺機能の経年低下の指標となり得る可能性が示唆されます。今後はsmall airway領域の炎症を規定する遺伝的要因の解明や、同部位の炎症をターゲットとした治療開発を進めて参りたいと考えている所存です。今後とも一層のご指導・ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

 

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