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第17回(2020年度)日本アレルギー学会学術大会賞受賞者

更新日時:2021年6月21日

第17回(2020年度)日本アレルギー学会学術大会賞受賞者

第17回日本アレルギー学会学術大会賞は、JSA/WAO Joint Congress 2020(第69回学術大会)において発表された研究業績を対象として、学会誌および学会ホームページにて公募、応募者8名について、2021年2月9日の学術賞選考委員会にて選考を行い、受賞候補者5名を選出、3月5日の理事会において下記のとおり受賞者を決定しました。

受賞者(敬称略 五十音順) 

赤川 翔平(関西医科大学小児科学講座)
「Decreased butyric acid-producing bacteria in the gut microbiome of children with egg allergy」

受賞理由:申請者は、小児の鶏卵アレルギー患者の腸内細菌叢において酪酸産生菌の減少によるdysbiosis が存在していることを世界で初めて明らかにした。また、同一の患者において、末梢血中のリンパ球に占める Treg 割合が減少していることを証明した。これまで、dysbiosis がどのようにアレルギー発症に関与しているかは不明であったが、本研究により、腸管における酪酸産生菌の減少が Treg の減少を招いている可能性が示唆された。本研究は、酪酸産生菌や酪酸を投与するという新たなアレルギー疾患の予防や治療の開発につながる優れた研究であると評価された。
受賞者のコメント:この度は第17回(2020年度)日本アレルギー学会学術大会賞を賜り、大変光栄に存じます。
酪酸は腸管内で制御性T細胞の分化誘導を促進し、過剰な免疫応答を抑制する働きがありますが、本研究は鶏卵アレルギーを有する小児の腸内細菌叢では健常小児と比較して酪酸を産生する細菌が減少していることを明らかにしました。このことから、酪酸産生菌の減少がアレルギー発症に関連している可能性が示唆され、本研究成果が腸内細菌叢をターゲットとした新たなアレルギー治療法や予防法の開発に繋がることが期待されます。まだ発展途上の研究分野であり、今後とも引き続き精進してまいりたいと思います。  
  このような名誉ある賞を賜りましたのも、関西医科大学小児科学講座の金子一成教授、辻章志先生、木全貴久先生、山内壮作先生をはじめ、研究に携わって頂いた多くの関係者の方々のご指導とご協力のおかげであり、心より感謝申し上げます。

織田 好子(神戸大学医学部附属病院皮膚科)
「Improved FcεRI-mediated basophil reactivities reflect rapid-responses to omalizumab in chronic spontaneous urticaria」

受賞理由:申請者は、慢性特発性蕁麻疹(Chronic spontaneous urticaria; CSU)におけるオマリズマブの作用機序に関する研究を行っている。オマリズマブを投与した CSU 患者を対象にオマリズマブ治療前後で FceRI を介した刺激に対する末梢血好塩基球の応答性などを解析し、オマリズマブ治療後に観察される好塩基球の応答性の改善が、オマリズマブの迅速な治療効果と関連していることを見出した。CSU におけるオマリズマブの治療効果における重要な作用メカニズムを同定したことが高く評価された。
受賞者のコメント:この度は、第17回日本アレルギー学会学術大会賞を賜りまして、誠にありがとうございます。日頃からご指導・ご鞭撻いただいております錦織千佳子前教授(神戸大学大学院医学研究科皮膚科前教授)、福永淳准教授をはじめ、教室員全ての先生方に感謝申し上げます。
慢性蕁麻疹患者での好塩基球は、ex vivoでFcεRIを介した刺激を加えると低応答性を示すことが既に知られています。我々はオマリズマブ治療後に好塩基球応答性が改善し、その改善率がオマリズマブの迅速な治療効果と関連していることを観察しました。オマリズマブは慢性蕁麻疹治療に大きな転換をもたらしました。しかし機序について全貌は明らかになっておらず、その要因の1つとして好塩基球が寄与していると考えます。
今回の受賞を励みに、蕁麻疹分野の研究に邁進できるよう精進していきたいと思います。今後ともより一層のご指導を賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。

菅野 峻史(東京薬科大学免疫学教室)
「Latent 1,3-β-D-glucan acts as an adjuvant for allergen-specific IgE production induced by Japanese cedar pollen exposure」

受賞理由:申請者は、スギ花粉症の発症には、アレルゲン感作だけでなく、なんらかの免疫賦活作用が必要であると考え、スギ花粉に含まれる多糖で病原体関連分子パターンの 1 種として知られるβ-glucan (BG)に着目し研究を行った。その結果、スギ花粉の外壁に含まれる BG が、鼻汁との接触により花粉から表出し、Dectin-1 を介して樹状細胞などの自然免疫系の細胞を活性化することにより、抗原特異的な免疫応答を刺激して特異抗体産生を高めることを明らかにした。将来の花粉症治療に有益な研究として高く評価された。
受賞者のコメント:この度は、第17回日本アレルギー学会学術大会賞を賜りまして、大変光栄に存じます。ご指導頂きました東京薬科大学免疫学教室の安達禎之准教授、大野尚仁名誉教授並びに東京慈恵会医科大学自然科学教室の平塚理恵准教授、鳥居薬品株式会社の皆様をはじめとした共同研究者の皆様方に厚く御礼申し上げます。本研究の対象であるβ- glucanは真菌免疫に関与する分子として多くの研究がなされている多糖ではありますが、花粉に存在することは知られていながらも免疫学的知見は乏しく、見過ごされていた分子でした。本研究ではスギ花粉が吸水し破裂することで露出した花粉外壁の内側に局在するβ- glucanが自然免疫の賦活化を介して特異的抗体の産生誘導に関与することを明らかにしました。本研究の知見から今後は発症メカニズムの詳細な解明及び新機序治療法の開発への発展を目標に据え、取り組んでいく所存です。今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

木戸口 正典(福井大学医学部附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
「Association between the NOS2 pentanucleotide repeat polymorphism and risk of postoperative recurrence of chronic rhinosinusitis with nasal polyps in a Japanese population」

受賞理由:申請者は、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者および好酸球性副鼻腔炎患者において,鼻腔で一酸化窒素(nitric oxide, NO)を合成する一酸化窒素合成酵素(nitric oxide synthase 2, NOS2)の遺伝子多型の反復配列の回数が少ないほど鼻茸における NOS2 遺伝子発現量が増加していたことを見いだした。反復配列の回数を,11 回以下を S 型,12 回以上を L 型と分類したところ,多施設前向きコホートにおいて S/S 型は S/L 型や L/L 型と比較して高い術後再発率であることを報告し.NOS2 反復配列多型は鼻茸における NOS2 発現量と関連しており,術後再発に影響を与える遺伝的要因となる可能性を提唱したことが評価された。
受賞者のコメント:この度は第17回日本アレルギー学会学術大会賞を賜りまして、大変光栄に存じます。ご指導頂きました筑波大学遺伝医学野口恵美子教授、福井大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科藤枝重治教授をはじめ、研究に携わって頂いた多くの関係者の方々に深く感謝を申し上げます。
好酸球性副鼻腔炎は鼻茸や気管支喘息を合併することの多い慢性副鼻腔炎で、難治性で術後再発をきたしやすい難病ですが、その原因は十分には明らかになっていません。本研究では、遺伝学的要因のひとつとしてNOS2遺伝子の反復配列多型に着目し、反復回数が少ないことが鼻茸中のNOS2遺伝子の高発現および術後再発の高リスクとなることを明らかにしました。今回の受賞を励みに、引き続きアレルギー疾患の克服を目指し研究に取り組んで参ります。今後とも一層のご指導ご鞭撻を賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。

林 浩昭(Harvard Medical School, Division of Allergy and Clinical Immunology)
「Omalizumab はアスピリン喘息にアスピリン(NSAIDs)耐性化を誘導する」

受賞理由:申請者は、抗 IgE 抗体製剤 Omalizumab のアスピリン喘息(AERD)および NSAIDs 過敏症に対する有効性を二重盲検ランダム化交差比較試験にて検討した。その結果、Omalizumab の3ヶ月の投与により、アスピリン全身負荷試験時の尿中 LTE4 レベルに有意な減少を認めた。さらに Omalizumab の投与により 60%以上の症例でアスピリン耐性化が誘導されることを見出した。本研究は診療に難渋することの多い AERD および NSAIDs 過敏症の治療に極めて重要な知見を提供し、優れた研究であると評価された。
受賞者のコメント:この度は第17回日本アレルギー学会学術大会賞を賜り、大変光栄に存じます。名誉ある本賞を受賞することができましたのも、湘南鎌倉総合病院免疫・アレルギーセンター 谷口正実センター長(前相模原病院臨床研究センター)、名古屋大学大学院医学系研究科呼吸器内科学 長谷川好規名誉教授を始めとする諸先生方の長年に渡る御指導の賜物であり、心より御礼申し上げます。
本研究では重症喘息の一亜型であるアスピリン喘息(AERD)・NSAIDs過敏症に対して、前向き介入試験にて抗IgE抗体Omalizumabの有効性を証明し、新規治療法として確立しました。Omalizumabは全身ステロイド薬の効果も乏しいNSAIDs過敏症に耐性化を誘導する事をアスピリン全身負荷試験を実施の上、自覚症状スコア・尿中バイオマーカー(Leukotriene E4、Prostaglandin D2代謝産物)の双方を用いて証明しました。AERDの重要病態である上下気道のマスト細胞活性化をOmalizumabは強力に抑制したことがその機序として推察されました。本研究結果より、ステロイド依存状態に陥りやすいAERD患者さんの病状改善のみならず、ステロイド長期使用による予後悪化を阻止できる可能性が期待されました。
今回の受賞を励みに、今後もAERDを始めとした重症喘息の病態解明・新規治療法の確立を中心テーマとして日本のアレルギー学の発展と社会貢献に尽力していきたいと考えております。今後とも御指導、御鞭撻の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

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