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第21回(2024年度)日本アレルギー学会学術大会賞受賞者

更新日時:2025年11月5日

第21回(2024年度)日本アレルギー学会学術大会賞受賞者

第21回日本アレルギー学会学術大会賞は、第73回学術大会での発表者を対象として、学会誌および学会ホームページにて公募、応募者16名について、学術大会賞選考委員会にて選考を行い、受賞候補者5名を選出、7月18日の理事会において下記のとおり受賞者を決定しました。

受賞者(敬称略 五十音順) 

           上原 星輝子(静岡県立大学 臨床薬効解析学講座

 喘息患者におけるステロイド反応性低下と重症度との関連 -前向き1年間フォローアップ研究-

選考理由:本研究は、喘息患者のステロイド反応性と臨床的アウトカムとの関連を明らかにし、ステロイド反応性低下患者の特徴および低下機序の解明を目的とする新規性の高い研究である。申請者らは、重症喘息患者におけるステロイド反応性が低下しており、増悪や臨床的寛解非達成など不良な臨床的アウトカムに繋がること、ステロイド反応性の低下にはPI3K経路、特にPI3Kδ/γ経路の活性化の関与を明らかにした。重症喘息患者において、ステロイド治療に対する有効性を改善、維持するためにPI3K 経路の活性化を抑制することが新たな治療戦略となる可能性を示した結果は高く評価される。

受賞者のコメント:第21回日本アレルギー学会学術大会賞を賜り、身に余る光栄に存じます。静岡県立大学薬学部 伊藤邦彦教授、静岡県立総合病院 白井敏博先生、赤松泰介先生ならびに信州大学大学院医学系研究科 平井啓太准教授にご指導を賜りましたこと、深く感謝申し上げます。本研究では、喘息患者を対象にステロイド反応性評価法を確立し、臨床アウトカムとの関連を検討しました。その結果, 重症喘息患者群ではステロイド反応性低下が認められ、これは臨床的寛解の非達成など不良な予後と関連していました。この傾向は1年後の追跡調査でも一貫しており、ステロイド反応性評価が予後予測に有用であると示されました。また、分子機序としてPI3K経路の活性化が反応性低下に寄与していることを明らかとし、新たな治療戦略への可能性が示唆されました。今後も臨床へ還元可能な知見の創出に尽力する所存でございます。今後とも一層のご指導を賜りますようお願い申し上げます。

           齋藤 林太郎(京都大学医学部附属病院 免疫・膠原病内科)

     「T細胞受容体シグナル伝達分子ZAP70 機能低下に誘導される肺2 型自然リンパ球(ILC2)の分化抑制の検討」

選考理由:House Dust Mite誘導性マウス喘息モデル(2型炎症と非2型炎症が混合したモデル)を、T細胞受容体シグナル伝達分子ZAP70機能低下を有するSKGマウスに導入し、喘息におけるZAP70の役割を解析した。その結果、SKGマウスではBalb/cマウスと比してIL-22産生Th17細胞が増加し、これにより2型自然リンパ球の分化が抑制され、気道炎症が減弱することを見出した。本知見は、喘息の病態に関して、極めて新しいストーリーを提唱するものとして高く評価できる。

受賞者のコメント:この度は、栄えある第21回日本アレルギー学会学術大会賞を賜り、誠に光栄に存じます。また、長きにわたり研究の場と手厚いご指導を頂いております京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学の佐藤篤靖先生、芦野滋先生、平井豊博先生、そしてご協力頂いている関係者の皆様にこの場を借りて心より感謝申し上げます。本研究では、T細胞受容体シグナル伝達分子ZAP70機能低下に依存した自己免疫性関節炎を呈するSKGマウスを用いることで、アレルギー性疾患におけるサイトカインIL-22が肺上皮微小環境ならびに2型自然リンパ球の分化に及ぼす影響を明らかにできたことについて、私自身非常に意義深く感じております。今回の受賞を励みとして、より一層の研鑽を重ね、研究に精進して参ります。引き続き皆様のご指導とご鞭撻を賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。

 

佐々木 寿(防衛医科大学校 感染症・呼吸器内科)

「アレルギー性気管支肺真菌症患者の血中好酸球の細胞性質の解明」

選考理由:アレルギー性気管支肺アスペルギルス症/真菌症(ABPA/M)の血中好酸球の性質を多層オミクス解析およびバイオインフォマティックスによる手法を用いて詳細に検討した研究である。ABPA/M患者の血中好酸球では特にIFN-γシグナルが亢進していること、IL-5とIFN-γ(2型炎症と1型炎症)の共存が好酸球のETosis誘導能を促進する可能性が示唆されること、などを明らかにした。この結果を踏まえて,活性化好酸球の抑制なども含め個々の症例に応じた適正化治療を行うことを提唱しており、受賞に値する研究として高く評価された。

受賞者のコメント:この度は第21回日本アレルギー学会学術大会賞を頂戴し、光栄に存じます。本研究に取り組むにあたり、多大なるご支援とご助言を賜りました関係各位、ならびに日頃よりご指導くださった先生方に、この場をお借りして深く御礼申し上げます。私が研究テーマとして取り組んできたアレルギー性気管支肺アスペルギルス症/真菌症(ABPA/ABPM)は、好酸球性炎症が病態の中核を担う疾患でありながら、その好酸球の活性化機序については未解明の部分が多く残されておりました。今回の研究で、多層オミクス解析を使用し、従来のIL-5に加え、IFN-γによる好酸球の活性化が関与している可能性、さらにその応答がIgG依存的なETosisを亢進させる可能性を明らかにしました。一部のABPA/Mは難治化することが報告されており、難治例に対する治療戦略の構築が求められています。本研究を実臨床に還元できる知見へと発展させていけるよう、今後も度直を重ねていく所存です。

西 健太(市立岸和田市民病院 呼吸器内科/京都大学大学院医学研究科 呼吸器内科学

「重症喘息における生物学的製剤の治療反応性に遺伝的背景が影響し得る」

選考理由:重症喘息患者における生物学的製剤への治療反応性予測の精度は現状では必ずしも十分ではない。受賞者は113名の重症喘息患者について生物学的製剤治療の臨床効果と3つの候補遺伝子多型との関連解析を行い、特にIL-33受容体遺伝子多型(IL1RL1 rs1420101)と抗IL-5/IL-5R抗体の臨床効果が背景因子調整後も有意に関連することを薬理遺伝学的に明らかにした。今後さらなる検証が必要であるが、臨床的意義の高いテーマについてインパクトのある成果を示し、受賞に値する優れた研究であると評価された。

受賞者のコメント:この度は第21回日本アレルギー学会学術大会賞に選出頂き、大変光栄に存じます。継続的に丁寧なご指導をいただきました松本久子先生(近畿大学主任教授)をはじめ、平井豊博先生(京都大学教授)、長崎忠雄先生(近畿大学奈良病院)、砂留広伸先生(京都大学)、また研究にご協力いただきました先生方に深謝申し上げます。今回、重症喘息におけるバイオ製剤の有効性が、2型炎症に関連する特定の遺伝的背景に影響を受ける可能性を示唆する結果となりました。まだまだ検討すべき点も多いとは思いますが、将来的な臨床応用を目指す第一歩として、今回の受賞を大変嬉しく思います。今後ともご指導、ご鞭撻をどうぞよろしくお願いいたします。

三宅 健介(東京科学大学 総合研究院)

         「シングルセルRNA シーケンス解析の活用による好塩基球の皮膚アレルギー制御機構の解明

選考理由:炎症ピーク時と炎症収束時のIgE‐CAI(IgE-mediated chronic allergic inflammation)皮膚炎症局所を高感度1細胞RNA解析に供し、好塩基球によって誘導された単球由来マクロファージによる炎症収束機構を解析した。炎症収束時に認められる単球由来マクロファージでは死細胞貪食能が高まっていた。マクロファージが速やかに死細胞を除去することでアレルギー炎症を収束へ導くことを明らかにした優れた研究であると高く評価された。

受賞者のコメント:この度は、第21回日本アレルギー学会学術大会賞という栄誉ある賞を賜り、誠に光栄に存じます。烏山一特任教授をはじめ、日頃より研究を支えてくださっている多くの先生方、そして研究室の学生の皆様に、心より御礼申し上げます。好塩基球は、末梢血中にわずか0.5%ほどしか存在しない希少な免疫細胞ですが、最近の研究からアトピー性皮膚炎をはじめとするアレルギー炎症の誘導に重要であることが認識されつつあります。本研究では、1細胞RNAシーケンス技術を駆使することで、希少細胞である好塩基球の遺伝子発現を精密に解析し、好塩基球の分化過程やアトピー性皮膚炎や急性呼吸促拍症候群における好塩基球の炎症制御における役割を明らかにしてまいりました。今回の受賞を励みに、引き続き好塩基球やアレルギーの研究に取り組んでまいりますので、今後ともご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申しあげます。

 

 

  問い合わせ先

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