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第22回(2025年度)日本アレルギー学会学術大会賞受賞者

更新日時:2026年10月22日NEW

第22回(2025年度)日本アレルギー学会学術大会賞受賞者

第22回日本アレルギー学会学術大会賞は、第74回学術大会での発表者を対象として、学会誌および学会ホームページにて公募、応募者17名について、学術大会賞選考委員会にて選考を行い、受賞候補者5名を選出、7月17日の理事会において下記のとおり受賞者を決定しました。

受賞者(敬称略 五十音順) 

【最優秀者(1名)】

           小林 義照(山梨大学医学部附属病院 リウマチ膠原病内科)

 「マスト細胞とPIEZO1」

選考理由:マスト細胞における圧力センサー蛋白質PIEZO1について検討し、IL-33がマスト細胞のPIEZO1発現を強く誘導すること、そのPIEZO1をアゴニストで刺激するとマスト細胞の脱顆粒に伴うヒスタミンの遊離、ロイコトリエン、IL-4, IL-13の産生が誘導されること、痒み過敏(アロネーシス)が誘発されることなどを見いだした。これらの知見は、機械性蕁麻疹や肥満細胞症でみられる物理的刺激による膨疹形成の機序解明に寄与するとともに、新規治療法の開発にもつながるものであり、受賞に値する優れた研究であると評価された。

受賞者のコメント:この度は、栄誉ある第22回日本アレルギー学会学術大会賞を賜り、大変光栄に存じます。日頃よりご指導・ご支援を賜りました山梨大学免疫学講座中尾篤人教授をはじめ、免疫学講座ならびに山梨大学リウマチ膠原病内科の皆様、そして研究に携わってくださったすべての関係者の皆様に、心より深く感謝申し上げます。本研究では、圧受容体であるPIEZO1とマスト細胞の関係に着目し、IL-33や異常なKITシグナルがPIEZO1の発現を制御することを明らかにしました。さらに、PIEZO1の発現に伴い、機械刺激によってマスト細胞の脱顆粒が誘導されるという活性化機序を示しました。これにより、「マスト細胞にも触覚がある」という新しい概念を提唱することができました。今回の受賞を励みに、アレルギー研究の発展に少しでも貢献できるよう、今後も努めてまいります。今後ともご指導、ご鞭撻のほど、何卒宜しくお願い致します。

 
【受賞者(4名)】

           雁金 詩子(慶應義塾大学医学部 皮膚科学教室/慶應義塾大学病院 アレルギーセンター)

     「Real-world AI-powered objective severity assessment of atopic dermatitis: a digital biomarker approach.」

選考理由:申請者は、アトピー性皮膚炎患者向け投稿型アプリ「アトピヨ」に投稿された皮膚画像を用いて、皮疹重症度を客観的に判定するAIモデルを開発し、その臨床的妥当性を検証した。作成した重症度判定モデル AI-TIS (Three Item Severity)は、身体部位同定で98%、皮疹部位検出で100%の同定率を示し、専門医が判定したTISと良好な相関を示した。本研究は、患者が日常生活で撮影した多様な条件下の画像から、皮疹重症度を高精度に評価できることを示した優れた研究であると高く評価された。

受賞者のコメント:第22回日本アレルギー学会学術大会賞を賜り、身に余る光栄に存じます。研究の立案・遂行・解析にわたり継続的にご指導くださいました足立剛也先生に深く感謝申し上げます。また、臨床と研究の両面にご理解とご支援を賜りました天谷雅行教授、福永興壱病院長、共同研究者として多大なるご協力をいただきました帝京大学の広田雅和先生に、厚く御礼申し上げます。さらに、平素より診療と研究を共にしております教室員やアレルギーセンターの皆様の温かいご協力に、深く感謝いたします。本研究では、アトピー性皮膚炎患者のリアルワールド画像から皮疹重症度を客観的に評価するAI(AI-TIS)を開発し、その臨床的妥当性を実証いたしました。今回の受賞を励みとし、皮膚科・アレルギー疾患におけるアンメットニーズの多角的な探究を、今後も続けてまいりたいと存じます。今後とも一層のご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

田中 淳(東海大学医学部 内科学系呼吸器内科学)

「Clinical characteristics of difficult-to-treat allergic bronchopulmonary aspergillosis and its prediction score」

選考理由:従来のABPA治療では、臨床的に意義のある確立した指標は存在しなかったが、本研究は「臨床寛解導入の成功率」に着目し、標準治療下でも約半数が6か月以内に寛解に至らない実態を解明した。日常診療で測定可能な簡便な指標を組み合わせた「難治性ABPAスコア」を構築し、難治性ABPA は治療法の違いによらず治療失敗リスクの層別化が可能であることを証明している。この成果は今後の治療強化や短縮プロトコールの検討できる基盤を提示し、ABPA治療マネジメントに大きく貢献する成果である。以上より学術大会賞に相応しいと判断した。

受賞者のコメント:このたび、第22回(2025年度)日本アレルギー学会学術大会賞を賜り、大変光栄に存じます。本研究を進めるにあたり、東海大学総合医学研究所・特任教授浅野浩一郎先生、東海大学呼吸器内科教授小熊剛先生には多大なるご指導を賜りましたこと、心より感謝申し上げます。また、本研究にご協力いただきました多くの先生方に、深く御礼申し上げます。本研究では、全国多施設調査をもとに、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の約半数が標準治療後6か月以内に臨床的寛解に至らないことを明らかにするとともに、治療抵抗性に関連する臨床指標を同定し、それらを用いた予測スコアを提案しました。今回の受賞を励みに、今後もアレルギー性呼吸器疾患の病態解明と、より良い診断・治療につながるような臨床研究に取り組んでまいります。今後とも皆様からのご指導、ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

濱田 祐斗(国立病院機構相模原病院 呼吸器アレルギー科)

「経口ステロイドを使用していない成人喘息患者における糖尿病発症リスクの上昇:後ろ向きコホート研究」

選考理由:ビッグデータ解析は潜在的な臓器関連病態の解明に有用だが、必要情報が単一データベースに揃わないことが多く、複数データベースの統合が鍵となる。本研究はレセプトと特定健診データを統合し、厳密な条件設定に基づき抽出した6838名を平均3.8年追跡した上で傾向スコアによる交絡補正を行い、「喘息患者で糖尿病新規発症リスクが高い」ことを明確に示した。適切なクリニカルクエスチョン設定と精緻な疾患定義、丁寧な交絡因子補正に基づく統合データベース解析から、新規性の高い知見を導いた優れた疫学研究として高く評価された。

受賞者のコメント:この度は、日本アレルギー学会学術大会賞を賜り、誠に光栄に存じます。本研究を遂行するにあたり、長年にわたりご指導くださった福冨友馬先生、中谷英仁先生、上出庸介先生、関谷潔史先生、谷口正実先生に心より御礼申し上げます。本研究では、健康保険レセプトデータと特定健康診査データを用い、経口ステロイド使用者を除外した成人集団を対象として、喘息と新規2型糖尿病発症との関連を検討しました。その結果、交絡因子を調整した解析において、喘息が糖尿病発症リスクの上昇と関連する可能性が示されました。特に、肥満とは異なる病態が関与する可能性も示唆されました。本成果は、喘息を気道局所の疾患のみならず、全身性炎症や免疫代謝異常と関わる疾患として捉え、糖代謝異常の早期発見や包括的管理の重要性を示唆するものです。今回の受賞を励みに、臨床に還元できる研究をさらに発展させてまいります。

松山 笑子(慶應義塾大学病院 内科学(呼吸器))

         「IL-33 による好酸球のETosis の誘導能と制御機構の解明」

選考理由:本研究は、IL-33がヒト好酸球に与える影響をマルチオミクス解析で包括的に検討し、IL-33が好酸球を炎症性かつETosisを起こしやすい状態へ誘導することを示し、さらに酸化LDLや補体系との協調作用も明らかにした点が新しい。また鼻茸好酸球との類似性を示したことは臨床的意義が高い。一方で、主としてin vitro解析であり、IL-33依存性ETosisの疾患病態への寄与や詳細な機序解析は今後の課題である。総じて、記述的ではあるが、質の高い研究である。

受賞者のコメント:この度は、第22回日本アレルギー学会学術大会賞を頂き、大変光栄に存じます。日々のご指導を賜りました慶應義塾大学医学部・呼吸器内科の宮田純先生、福永興壱教授をはじめ、ご協力頂きました関係者の皆様には心より感謝を申し上げます。本研究ではマルチオミクス解析により、IL-33が好酸球に特徴的な炎症性表現型を誘導し、鼻茸由来好酸球は末梢血好酸球と比較し,IL-33刺激好酸球に近い遺伝子発現を示すことを明らかにしました。さらに、IL-33がETosisを誘導する機序や、酸化LDLおよび補体が好酸球の活性化に関与する可能性を示しました。今回の受賞を励みに、より一層の研鑽を重ね、いつか臨床へ還元できるよう、精進してまいります。今後ともご指導ご鞭撻の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

 

  問い合わせ先

一般社団法人日本アレルギー学会事務局
〒110-0005 東京都台東区上野1-13-3MYビル4階
TEL:03-5807-1701 FAX:03-5807-1702
E-Mail:info@jsaweb.jp

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