職業と関連したアレルギー性鼻炎を、職業性アレルギー性鼻炎といいます。職場で症状があらわれるかまたは悪化しますが、職場の環境から離れる帰宅後や休日には軽快します。
日本の有病率は0.3~3%と報告されています。
原因
職業性アレルギー性鼻炎には職場の抗原(アレルギー物質)に一定の期間接触することでアレルギーを獲得するため、初回曝露で発症することはなく、就業後しばらく発症しない期間があった後に鼻炎症状が出現します。
職場で扱うさまざまな物質が原因となります。
毛皮取扱業(獣毛)、パン製造業(小麦粉、ライ麦粉)、パン製造業・麺製造業(穀物粉)、ブリーダーなどの動物取扱業(動物皮屑)、木工化工業(木材粉塵)などで有病率が高いと報告されています。
原因 Q&A
- どのような職業の人に多いですか?
- 職種によって異なりますが、毛皮取扱業、パン製造業・麺製造業、ブリーダーなどの動物取扱業、木工化工業に従事する人が多いと報告されていますが、原因となる物質はさまざまであり、動物性や植物性の微細粉塵に接する職業、薬剤・化学物質・金属粉塵などに曝露されるどのような職業でも発症する可能性があります。
- 半年以上同じ業務に従事しています。
突然、職業性アレルギー性鼻炎を発症することがあるのでしょうか? - 原因物質への初回曝露で発症することはなく、就業後しばらく発症しない期間があった後に感作が成立して鼻炎が発症する場合があります。
診断
アレルギー性鼻炎の診断を行います。
アレルギー性鼻炎 - 診断
職場と関連して、アレルギー性鼻炎症状の悪化があるかどうか、詳細な問診を行います。
必要があれば、就労場所でアレルギー性鼻炎症状があらわれるかどうかを調べる「環境試験」を行うこともあります。
血液検査
疑わしいアレルゲンの特異的IgE抗体の量を調べます。
プリックテスト
原因として疑われるものを専用の針につけて少し皮膚に押しつける、という検査です。押しつけた部分が虫刺されのように膨らむかどうかを調べます。
診断 Q&A
- 職業性アレルギー性鼻炎を疑う症状は何ですか?
- アレルギー性鼻炎の症状が職場では悪化し、帰宅後あるいは休業日などで職場を離れると、症状が軽快するという特徴があります。
- 原因物質を調べる方法はありますか?
- 詳細な問診を行い、疑わしい物質がある場合には、血液を使って、疑わしいアレルゲンの特異的IgE抗体の量を調べます。
就労場所でアレルギー性鼻炎症状があらわれるかどうかを調べる環境試験や鼻粘膜に原因と考えられる物質を染み込ませたペーパーディスクを載せてアレルギー症状が出るかをみる誘発試験が確定診断に用いられています。
対策
アレルギー性鼻炎の治療を行います
アレルギー性鼻炎 - 治療
職業と関連している症状の場合は、事業所の産業医または安全衛生担当者に連絡し、アレルギー専門医に相談してください。
薬物療法のみで症状が改善しますが、将来的に「職業性ぜん息」を発症するリスクが高いため、可能な限り原因を回避・除去するための対応をとります。
作業内容の変更が難しい場合、マスクの使用、換気の徹底などの環境整備措置を行います。