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アレルギーを知ろう/Q&A

特殊な食物アレルギー/Q&A

更新日時:2024年7月9日

学童期以降に発症することが多い特殊な食物アレルギーがあります。

  • 花粉-食物アレルギー症候群(口腔アレルギー症候群)
  • 食物依存性運動誘発アナフィラキシー
  • 納豆アレルギー
  • 肉アレルギー

原因・症状

花粉-食物アレルギー症候群(口腔アレルギー症候群)

花粉症を持つ患者さんの一部が果物や野菜、豆類を食べた直後から1時間以内に、唇、舌、のどにイガイガ、チクチクといったかゆみや刺激感を感じる病気です。
豆乳、スパイスではアナフィラキシーが引き起こされることもあります。

花粉 症状が起きることが報告されている主な食物
カバノキ科 ハンノキ
オオバヤシャブシ
バラ科(リンゴ、モモ、サクランボ、ナシ、アンズ、アーモンド)
マメ科(大豆、ピーナッツ、緑豆もやし)
マタタビ科(キウイフルーツ)
カバノキ科(ヘーゼルナッツ)など
シラカンバ
ヒノキ科 スギ ナス科(トマト)
イネ科 オオアワガエリ
カモガヤ
ウリ科(メロン、スイカ)
ナス科(トマト)
マタタビ科(キウイフルーツ)
ミカン科(オレンジ)
マメ科(ピーナッツ)など
キク科 ブタクサ ウリ科(メロン、スイカ、ズッキーニ、キュウリ)
バショウ科(バナナ)など
ヨモギ セリ科(セロリ、ニンジン、スパイス類:クミン、コリアンダー、フェンネルなど)
ウルシ科(マンゴー)など

食物アレルギー診療ガイドライン2021を参考にして作成

食物依存性運動誘発アナフィラキシー

ある特定の食べ物(小麦、エビ、カニなど)を食べた数時間の間に運動や飲酒、入浴、解熱鎮痛薬などを服用するとアレルギー症状が誘発されます。
詳しい情報はこちら 食物アレルギー - アレルギーポータル(allergyportal.jp)

納豆アレルギー

摂取してアナフィラキシーを発症する納豆アレルギーは、納豆の粘りの主成分であるポリガンマグルタミン酸や発酵に用いる納豆菌のナットウキナーゼが原因であると考えられています。
ポリガンマグルタミン酸はクラゲの触手に含まれているため、クラゲ刺傷によりポリガンマグルタミン酸に対するアレルギー反応が生じると考えられています。

肉アレルギー

マダニ咬傷により、マダニの唾液に含まれるα-Gal(アルファ・ギャル)という物質が体に入り、それに対するアレルギー反応が生じてしまうことがあります。その場合、α-Galはほとんどの哺乳類の肉にも含まれているため、牛・豚などを食べると、食後2~6時間ほど経過してからじんましん、下痢などのアレルギー症状があらわれます。

ネコアレルギーがある人が、豚肉を食べるとアレルギー症状があらわれてしまうことがあり、「Pork-cat(豚-猫)症候群」と呼ばれています。血清アルブミンというタンパク質に対してアレルギー反応が生じることが原因であると考えられています。

診断

血液検査で原因として疑われる食物に反応する特異的IgE抗体の量を調べます。量によってクラス0~6の7段階に分類されます。

皮膚プリックテストは、原因として疑われる食物や検査液を専用の針につけて少し皮膚に押しつける、という検査です。押しつけた部分が虫刺されのように膨らむかどうかを調べます。特異的IgE抗体の検査項目がない食物を調べたいときも、皮膚プリックテストで調べることができます。

病歴、特異的IgE抗体と皮膚プリックテストの結果より、アレルギーの原因の食物を特定します。必要に応じて「食物経口負荷試験」を行います。

アレルギー検査について詳細はこちら アレルギー検査について - アレルギーポータル(allergyportal.jp)

症状の予防・治療

症状の予防には原因の食物の摂取を避けることが大切です。医師と相談し、アナフィラキシーに進行する可能性がある場合は、携帯用アドレナリン自己注射薬(商品名:エピペン)を携帯しましょう。

じんましんがあらわれた場合には、抗ヒスタミン薬の飲み薬を服用し、全身にじんましんがあらわれたり、症状が悪化する傾向がある場合には受診しましょう。意識がもうろうとしたり、呼吸困難、ぜん鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)などの呼吸器症状、繰り返し吐くなどの症状はあれば、できるだけ早期にアドレナリン自己注射薬(商品名:エピペン)を注射するとともに、救急車を呼びましょう。

アレルギーの治療について詳細はこちら アレルギーの治療について - アレルギーポータル(allergyportal.jp)

Q&A

運動したときに目が腫れることがあり、食物依存性運動誘発アナフィラキシーではないかといわれています。どこで検査を受けることができますか。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーは、特定の食物を摂取した後に運動することによってアナフィラキシーが誘発される疾患です。診断のためには「食物+運動負荷試験」がありますが、重篤なアナフィラキシー反応が生じる可能性がありますので、経験が豊富なアレルギー専門施設での実施が望ましいです。
リンゴアレルギーの人は、リンゴジュースやリンゴ酢は食べることができませんか。
花粉に関連する口腔アレルギーでは、リンゴなどバラ科の生の果物を食べると症状があらわれて、加熱したものでは大丈夫なことがあります。リンゴは加熱調理などにより抗原性が変化して、ジャムやソースは大丈夫になることが多いです。アレルギー症状には個人差がありますので、主治医の先生とご相談ください。
「仮性アレルゲン」とはなんですか。
食べ物の中に含まれるヒスタミンやセロトニン、アセチルコリンなどが原因で、じんましんなどのアレルギーのような症状が引き起こされます。これは、通常の食物アレルギーとは異なり、誰でも生じる可能性があります。例えば、ヒスタミンを多く含む食品はタケノコ、ナス、ほうれん草などがあり、アセチルコリンを多く含む食品にはトマトなどがあります。
アニサキスアレルギーとはどのようなアレルギーですか。
アニサキスは、魚介類や海産哺乳類の体内に生息する寄生虫の一種です。通常、非加熱の魚を摂取の際に、アニサキスが体内に入ることで生じるアニサキス症とは違い、アニサキスのタンパク成分に対するアレルギー反応によって、全身に症状が引き起こされます。
アニサキスアレルギーについて詳細はこちら
- 一般社団法人 アニサキスアレルギー協会(anisakis-allergy.or.jp)

その他の「よくある質問」はこちら(アレルギーポータル)

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