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アレルギーを知ろう/Q&A

食物アレルギー/Q&A

更新日時:2024年7月9日

食物アレルギーは、ある特定の食べ物を食べたり、触れたりした後にアレルギー反応があらわれる病気です。

現状

発症年齢について

食物アレルギーは、赤ちゃんの時期が最も多く、年齢が上がるにつれて減っていきます。

年齢の分布
食物アレルギー診療ガイドライン2021 第5章 疫学
https://www.jspaci.jp/guide2021/jgfa2021_5.html

原因食物について

原因食品は年齢によって異なります。幼少期は卵、牛乳、小麦の順に多いです。年齢が上がるにつれて減りますが、フルーツや甲殻類(エビやカニなど)が増えます。近年、ナッツ類が小児も成人も増えてきています。

原因食物
食物アレルギー診療ガイドライン2021 第5章 疫学
https://www.jspaci.jp/guide2021/jgfa2021_5.html

診断

原因の食品と食物アレルギー症状の関連を明らかにすることが診断につながります。
血液検査でわかる抗原特異的IgE抗体(アレルギーポータル)も参考になりますが、確定診断には「食物経口負荷試験」が必要です。
食物負荷試験は実際にその食品を食べてみて症状があらわれるかどうかを確認する検査です。最初は少量から始めます。

負荷試験の量(例)
食物アレルギー診療ガイドライン2021 第9章 食物経口負荷試験
https://www.jspaci.jp/guide2021/jgfa2021_9.html

管理

管理の原則について

管理の原則は「必要最小限の除去」です。以下の5つの原則に従い、生活上の負担や不安を減らし、生活の質(QoL)を高めることを目指しましょう。

管理の原則:①正しい診断に基づき、食べると症状があらわれる原因食物のみを除去します。/②原因食物であっても「症状があらわれない量」までは食べることを目指します。/③十分な誤食防止対策を行います。周囲の人たちの理解を促すために情報を共有しましょう。/④食物除去に伴う栄養摂取不足を防ぎましょう。/⑤症状が誘発されても適切に対処できるよう、準備しておきましょう。

医療者の連携について

患者だけではなく家族のQoLにも配慮するためには、医師や看護師のほかに管理栄養士の役割が大きいです。各々の役割を知っておくことは相談する際などに役に立ちます。


食物アレルギー診療ガイドライン2021 第10章 食物アレルギー患者の管理
https://www.jspaci.jp/guide2021/jgfa2021_10.html

Q&A

食物アレルギーは血液検査で診断できますか?
血液検査だけでは食物アレルギーを診断することはできません。血液検査では、特定の食べ物に感作されているかどうかを食物特異的IgE抗体検査で確認することができますが、特異的IgE抗体が確認されなければアレルギーの可能性は非常に低くなります。検査する食べ物の種類、調理方法、年齢などによって検査結果の解釈が異なります。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)
食物アレルギーと診断された乳児に授乳中の母親は食物除去すべきですか?
湿疹は、スキンケアなどできちんと対応できていれば、授乳中の母親も乳児の原因食物の除去が必要となることは少なく、除去が必要な場合でも多くは短期間で解除できます。母乳栄養や混合栄養では、湿疹があるような一部の乳児で母親の食事内容が食物アレルギーの症状と関連していることもあるために、母親の食物除去が必要となることがありますが、乳児により除去範囲は異なり、この場合も多くは短期間で解除できます。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)
鶏卵アレルギーですが、予防接種は受けてよいですか?
鶏卵アレルギーでも予防接種を受けて大丈夫です。鶏卵と関連性があるとされる3つのワクチンの中で、麻しん風しん(MR)ワクチンとムンプス(おたふくかぜ)ワクチンは、いずれもワクチンの製造過程で使用されるのはニワトリの胚細胞であり、一般的な卵アレルギーの反応が生じる鶏卵タンパク質は含まれていないので安心して接種を受けることができます。また、インフルエンザワクチンは製造過程で有精卵が使われ、日本製のワクチンでは微量の鶏卵タンパク質が混入している可能性がありますが、通常の接種で重篤な反応が生じる可能性はきわめて低いので、医師に相談してワクチン接種を受けてください。(参考:「小児アレルギー疾患保健指導の手引き」より)

その他の「よくある質問」はこちら(アレルギーポータル)

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