一般社団法人 日本アレルギー学会

日本アレルギー学会公式サイトへ »
アレルギーを知ろう/Q&A

成人のぜん息/Q&A

更新日時:2024年7月23日

喘息は正常な人では感じないようなちょっとした刺激を受けて、気道に炎症が生じて、空気の通りが悪くなる病気です。炎症は、何度も繰り返す咳(せき)や、「ゼ―ゼー、ヒューヒュー」と音がする喘鳴(ぜんめい)、呼吸困難が生じます。継続した治療と原因となる刺激を避けることが重要です。

診断

医師が喘息という病名をつけるときにはあなたの自覚症状や受診時の様子などのほかに喘息特有の検査の異常があるかを調べます。

1)問診

喘息の診断のためには症状や生活環境などについての問診が最も重要な手がかりになります。咳や「ゼーゼー、ヒューヒュー」といった音が鳴る以外にも喘息に特徴的な症状がいくつかあります。
問診についての詳しい情報はこちら

2)呼吸機能検査

気道の通りやすさや刺激に対する敏感さを調べる検査をします。
呼吸機能検査についての詳しい情報はこちら

3)血液検査

アレルギーの体質があるか、何に反応するアレルギーか、などを調べる検査を行います。
血液検査についての詳しい情報はこちら

4)その他の検査

皮膚テストや、他の疾患ではないか鑑別するための検査を行うことがあります。
皮膚テストについての詳しい情報はこちら

診断Q&A

かぜをひくたびに咳が長引くのですが、喘息でしょうか?
咳が長引くのはぜん息の可能性がありますが、他の病気でも咳が長引くことがあります。かぜをひくたびに咳が長引く場合には喘息の可能性がありますが、鼻副鼻腔炎(黄色や緑色のねばっとした鼻汁が出る)や胃食道逆流(食後に動くと咳がひどくなる)などの病気でも咳が長引くことがありますので、医師の診察を受けてください。
アレルギー性鼻炎があると、喘息などのほかのアレルギー疾患が起こりやすいのでしょうか?
アレルギー性鼻炎の患者さんの25%程度に喘息が合併しますが、逆に、喘息の患者さんでは約70%にアレルギー性鼻炎が合併します。アレルギー性鼻炎が悪化すると喘息も悪くなることが多く、アレルギー性鼻炎と喘息の治療を合わせて行うことが重要です。
喘息で亡くなる方はどのくらいいますか?
厚生労働省の統計調査では、1年間に喘息で亡くなる方は1995年の7,253人をピークに減少傾向が認められ、2021年は1,038人でした。

その他の「よくある質問」はこちら(アレルギーポータル)

治療

喘息の治療(長期管理)の目標は、「症状のコントロール〔急性増悪(発作)や喘息症状がない状態を保つ〕」と「将来のリスク回避」です。気道の炎症の原因となる危険因子を回避・除去して、薬物療法による気道炎症の抑制と可能な限り正常に近い呼吸機能の維持を目標とします。

1)薬物治療

喘息の気道の慢性炎症に対する発作予防の薬(長期管理薬)としては、吸入ステロイド薬が最も効果があり、最初に用いる主軸の薬になります。気道狭窄に対し、気管支拡張薬を用いますが、必ず、吸入ステロイド薬とともに使用し、単独で用いてはいけません。重症度に応じて、複数の治療を組み合わせて行うことがあります。
薬物治療についての詳しい情報はこちら

2)その他の治療

薬による治療のほかに、アレルゲンに慣らしていく免疫治療(アレルゲン免疫療法)や注射の治療を行うことがあります。
その他の治療についての詳しい情報はこちら

3)主治医

ご自分の喘息について相談できる主治医をもちましょう。学問的な強い関心と専門知識を持ち、アレルギー診療の経験と実績があり、さらに高い水準で治療を進める能力のある医師を「アレルギー専門医」として日本アレルギー学会が認定しています。
主治医について詳しい情報はこちら

治療Q&A

喘息の長期管理ではどのような治療薬を使用するのですか?
長期管理は喘息の特徴である気道の慢性的な炎症をしずめるために行われる治療で、根気強く継続することが重要です。主に吸入ステロイド薬が用いられますが、吸入ステロイド薬は正しい吸入方法で吸入しないと十分な効果が得られません。
毎日吸入ステロイド薬を使用していますが、大丈夫でしょうか?
吸入ステロイド薬は、内服のステロイド薬と異なり、副作用がきわめて少なく、医師が指示する量を守って使用すれば、長期間使用しても安全な薬です。なお、吸入後にうがいをしたり水を飲んだりすることは、副作用を減らすために大切なことです。
喘息の治療は苦しいときだけにするものですか?
喘息の治療には、①急性増悪(発作)のときに苦しい症状を取る治療だけでなく、②気道の炎症をしずめるために長期間にわたって続ける治療もあります。①急性増悪(発作)の治療薬には、気管支拡張薬の吸入薬と内服薬があります。これらの治療薬を必要としなくなることが喘息の治療目標となります。
生物学的製剤の治療はどのような治療ですか?
喘息患者の免疫系が過剰に反応する特定の分子に対抗する治療です。これらの分子が引き起こす炎症を抑制し、気道の過敏性を減少させます。通常、この治療は注射薬です。高額な治療となるため、症状のコントロールが難しい患者さんに行われています。

その他の「よくある質問」はこちら(アレルギーポータル)

自己管理

喘息の症状はさまざまな悪化をもたらす因子の影響を受けます。治療と並行して、自己管理を続けることも重要です。ここにあるのはより良い治療を受けるためのヒントです。

1)吸入方法

喘息治療の基本である吸入薬は正しく吸入できないと期待する効果が得られません。定期的に、吸入手技の確認を行いましょう。
吸入方法について詳しい情報はこちら

2)喘息日記とピークフロー測定

ピークフローメーターによるモニタリングで気道の通りやすさを毎日自宅で測定できます。「喘息日記」はあなたが自分で記録するカルテのようなものです。毎日記録することで、どのような状況で喘息が悪化しやすい〔急性増悪(発作)が起こりやすい〕かなどを把握することができます。「喘息日記」を医師に見せることによって通院治療の助けとなります。あなたの喘息治療を進めるうえでの貴重な情報となります。
喘息日記とピークフロー測定について詳しい情報はこちら

3)アクションプラン

喘息症状に変化があった際に、あなたが取るべき行動を書いたものです。主治医と相談してあらかじめ作成しておきます。喘息が悪化したと判断する指標とその対処法(服薬や受診)を含みます。
アクションプランについて詳しい情報はこちら

アクションプランシートPDF

4)環境整備

身の回りのアレルゲンや症状の悪化をもたらす要因を減らす環境整備を継続して行うことも重要です。
環境整備についての詳しい情報はこちら

自己管理Q&A

吸入ステロイド薬を吸入する際のポイントを教えてください。
吸入ステロイド薬を使い始めるときは医師や薬剤師、看護師からの指導を受けながら吸入するとよいでしょう。定期的に吸入指導を受けることも有用です。ドライパウダー製剤(DPI)では、吸入するときにある程度強く吸入することがポイントです。加圧ガスによって吸入するエアゾール製剤(pMDI)では、吸入のタイミングを合わせることがポイントとなりますが、上手に吸入できない場合は補助器具(スペーサー)を使用します。吸入後はうがいをしましょう。
災害時に喘息を増悪させない方法は何ですか?
喘息の急性増悪(発作)の誘因となるホコリ、煙を吸い込まないようにして、アレルギーの原因になる動物などに触れないようにしましょう。ホコリを避けるためにはマスクを着用し、煙(タバコ、たき火など)のあるところには近づかず、動物(犬、猫など)にアレルギーがある場合は、ペットと一緒に避難している世帯に近づかないようにしてください。普段使っている発作予防の薬(長期管理薬)を毎日続けることが大切です。
薬を長く使い続けていますが、妊娠には影響ないのでしょうか。
妊娠を希望される段階で主治医に相談してみましょう。治療中のアレルギー疾患にも、おなかの中の赤ちゃんにも影響が少ない治療法に変更するよう主治医が提案してくれたり、専門的な知識を有する医療機関を紹介してくれたりするでしょう。ご自身の判断で薬を中断して病状を悪化させてしまうことは避けてください。

その他の「よくある質問」はこちら(アレルギーポータル)

このページの先頭へ