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アレルギーを知ろう/Q&A

アトピー性皮膚炎/Q&A

更新日時:2024年7月12日

アトピー性皮膚炎は、皮膚が赤くブツブツになったり、乾燥してむける病気です。普通では感じない刺激でもかゆみが強くなり、掻くことで症状を悪化させることが多いです。

症状

アトピー性皮膚炎は、皮膚が炎症を起こしやすい状態で、その特徴としては皮膚の水分が失われやすく、乾燥肌の状態となります。また、小児と成人で皮疹の広がり方が異なります。

アトピー素因
あなた自身やあなたの家族がアレルギー病歴(ぜん息、アレルギー性鼻炎等)を持つ、またはIgE抗体ができやすいかどうか。

症状
強いかゆみや特徴的な湿疹があり、特に体の左右対称に湿疹が現れる。これらの症状は繰り返し現れます。


皮ふの症状があらわれやすい部位

年齢による特徴
乳児期は頭や顔から始まり、体や手足に広がる。幼小児期は首や関節に皮疹が多く、成人期は上半身に皮疹が集中します。

アトピー性皮膚炎の症状について詳細はこちら
アトピー性皮膚炎 - アレルギーポータル (allergyportal.jp)
アトピー性皮膚炎の診断基準について詳細はこちら
アトピー性皮膚炎 Q3 - 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会) (dermatol.or.jp)

治療

アトピー性皮膚炎は完全に治ることは少ないですが、正しい治療で症状を管理することができます。年齢とともに、また症状が軽いほど、症状がなくなる「寛解」の可能性が高まります。
治療の目標は、症状を最小限に抑え、日常生活を通常通りに送れるようにすることです。このためには、薬の使用、スキンケア、そして肌を悪化させる要素の管理が必要です。炎症に対しては特定の薬を使い、肌を保湿するケアを続けます。症状が見えなくなっても、完全には治っていないかもしれませんので、治療を途中で止めないようにしましょう。

アトピー性皮膚炎の治療について詳細はこちら
アトピー性皮膚炎 - アレルギーポータル (allergyportal.jp)
アトピー性皮膚炎 Q7 - 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会) (dermatol.or.jp)

「スキンケア」について

アトピー性皮膚炎に対処するためには、スキンケアがとても大切です。皮膚をきれいに保つことと、しっかりと保湿することが、皮膚の健康を保つ鍵となります。


入浴やシャワーで汗や汚れを落とす

入浴後はすぐに保湿剤

対策

アトピー性皮膚炎を管理するためには、悪化を引き起こす要素を理解し、それらを取り除くことが重要です。

1)生活環境の改善

ダニや花粉、ペットの毛などの環境アレルゲンや、化粧品や金属などの接触アレルギーは皮膚を刺激し、アトピー性皮膚炎を悪化させる可能性があります。皮膚炎が悪化する他の原因としては、汗、摩擦、太陽光などがあります。これらの要素から皮膚を守るためには、適切なスキンケアと環境の整備が必要です。

2)ストレスを減らす

ストレスはアトピー性皮膚炎の悪化を引き起こす一因であり、さらに皮膚の症状が心理的ストレスを引き起こすこともあります。また、治療に対する不安や不信感がストレスを増大させ、悪化を引き起こすこともあります。心身の健康を維持するためには、医療チームとのオープンなコニュニケーションが重要です。

3)食べ物に気をつける

乳児においては、特定の食物がアトピー性皮膚炎の悪化を引き起こすことがあります。ただし、食物アレルギーの関与が明確でない場合、アレルゲンを除去する食事法は効果がないことが多いです。食事の調整については医師の指導を受けることをお勧めします。

4)妊娠・授乳について

かつては、妊娠・授乳中の女性にアレルゲンを除去する食事法が推奨されていましたが、その方法が有効でないことが示されています。

5)合併症の可能性も

アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能の低下により、感染症のリスクが増えることがあります。また、顔の皮疹が重い場合、眼瞼皮膚炎や白内障、網膜剥離などの目の合併症を引き起こす可能性があります。これらの合併症を防ぐためには、適切なスキンケアと、目をこすらないように注意することが重要です。

治療Q&A

ステロイド外用薬の副作用が心配です。
適切にステロイド外用薬を使用すれば、重篤な副作用を生じることはほとんどありません。ステロイド外用薬を長期に使い続けることで皮膚が薄くなる場合がありますが、症状が沈静化してきたら段階的に作用の弱いものに切り替えることや、塗る頻度を減らすことで防げることがわかっています。副作用の少ない使用方法で、きれいな皮膚の状態を維持することが重要です。
ステロイド外用薬以外の塗り薬について教えてください。
タクロリムス軟膏、デルゴシチニブ軟膏、ジファミラスト軟膏があります。
デルゴシチニブ軟膏、ジファミラスト軟膏は、ステロイド外用薬と作用メカニズムが異なるため、ステロイドホルモン作用による血管拡張・皮膚萎縮・多毛などの副作用がありません。効果はステロイド外用薬に比べると弱めになります。タクロリムス軟膏は2歳から、デルゴシチニブ軟膏は生後6か月の小児から、ジファミラスト軟膏は生後3か月の乳児から使用できます。
飲み薬や注射の薬について教えてください。
炎症とかゆみを引き起こす物質の働きを抑える内服薬には、JAK阻害薬と呼ばれるバリシチニブ、ウパダシチニブ、アブロシチニブがあります。定期的に血液検査と画像検査を行い、副作用を確認しながら服用を継続します。また、JAK阻害剤以外には免疫抑制薬シクロスポリン(カルシニューリン阻害薬)があります。
注射薬にはデュピルマブやネモリズマブ、トラロキヌマブがあり、炎症やかゆみを引き起こす物質の働きをピンポイントで抑えます。医師の判断の下、自己注射の指導を受けると、自宅での自己注射を行うことができるものもあります。

その他の「よくある質問」はこちら(アレルギーポータル)

スキンケア・対策 Q&A

湿疹の悪化を防ぐための適切なスキンケアの方法を教えてください。
皮膚を清潔に保ち、必要十分な量の保湿剤などの塗り薬を使用して、湿疹がない皮膚、湿疹を繰り返さない健康な皮膚を目指しましょう。
アトピー性皮膚炎の治療では、アレルゲン、汗、汚れ、黄色ブドウ球菌などによる影響(刺激)を防ぐことで、より保湿剤やステロイド外用薬などの薬剤の効果を高めることにつながり、きれいな皮膚を維持しやすくします。
医師にアトピー性皮膚炎と診断されました。食物除去は必要でしょうか?
アトピー性皮膚炎というだけで、食物アレルギーが原因と考えたり、離乳食の開始を遅くしたりする必要はありません。スキンケアやステロイド外用薬などによる適切な外用療法を優先させましょう。
乳児期では、特定の食べ物がアトピー性皮膚炎の悪化に関与していることもありますが、すべての乳児にあてはまるわけではありません。もしも食べ物によるアレルギーが皮膚炎を悪化させていると疑われる場合には、アレルギー専門の医師に相談しましょう。
体を洗うときは強くこすらないようにといわれていますが、汚れは十分に落ちるのでしょうか。
石鹼を泡立てると、汚れをはがし取って包み込む働きが高まり、洗浄力が向上するといわれています。また、石鹸の泡には、摩擦による刺激を少なくする働きもあります。きめの細かい、しっかりとした泡を作り、その泡を使って手でしっかりと洗うようにするとよいでしょう。タオルなどで強くこすることは避けてください。洗ったあとは、石鹼が残らないようによく流しましょう。

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