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アレルギーを知ろう/Q&A

アレルギー性結膜疾患/Q&A

更新日時:2024年7月12日

アレルギー性結膜疾患は、目の表面にアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)が付着して、目のかゆみや充血などの眼症状が起こる病気です。
花粉症に代表される季節性アレルギー性結膜炎、一年中症状のある通年性アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎に合併するアトピー性角結膜炎、重症の春季カタルや巨大乳頭結膜炎があります。

診断

医師がアレルギー性結膜疾患という病名をつけるときにはあなたの自覚症状や受診時の様子などのほかにアレルギー性結膜疾患特有の検査に異常があるかを調べます。

1)自覚症状、他覚所見

アレルギー性結膜疾患は、目のかゆみに加え、充血、なみだ目、目やにといった結膜炎の症状が特徴です。
目をかきすぎると白目がむくむ(結膜浮腫:写真1)こともあります。
重症の春季カタルでは瞼の裏に石垣のような凸(巨大乳頭:写真2)が多発して角膜に潰瘍ができ、視力が低下することもあります。


写真1 結膜浮腫(白矢印)

写真2 上の瞼の裏の巨大乳頭

写真出典:アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン第3版

2)結膜のアレルギー検査

目やにや結膜をぬぐった物の中に、好酸球という炎症細胞を見つければ確実です。

3)涙液のアレルギー検査

涙液中の「総IgE抗体」が一定以上あるかどうかを検査します。

4)血液検査

アレルギーの体質があるか、何に反応するアレルギーか、などを調べる検査を行います。

5)その他の検査

点眼誘発テスト、皮膚テスト、他の疾患ではないか鑑別するための検査を行うことがあります。

診断 Q&A

スギ花粉症を診断するときの方法を教えてください。
スギ花粉症を診断するときには、スギ花粉が飛散する時期に症状があらわれるかどうかなどの詳しい問診と、アレルギー反応のときに増える好酸球という物質がどのくらいあるかを調べる好酸球検査や、スギ花粉の皮膚テスト、血液検査による特異的IgE抗体検査や誘発テストなどを用いて診断します。
スギ以外の花粉でも花粉症にはなるのでしょうか?
スギ以外に、ヒノキやシラカンバ、初夏のイネ科、秋を中心に花粉が飛び交うキク科のブタクサ属やヨモギ属でも花粉症になることが知られています。花粉症の約70%はスギ花粉症だと考えられていますが、スギ以外も原因となり得ることを知っておけば、アレルゲンの特定や花粉の回避対策に役立ちます。
乳児も花粉症になりますか?
乳児には花粉症はほとんどありません。ごく少数ですが、通年性アレルギー性鼻炎の乳児はいます。わが国の1歳6か月児健診での有症率は1.5%という報告があります。スギ花粉症は早ければ2歳で発症することがありますが、乳児にとって初めてのスギ花粉飛散シーズンに花粉症を発症することはほとんどないと考えてよいでしょう。
私の子供が春季カタルと診断されました。アレルギー性結膜炎と春季カタルはどこが違うのですか?
アレルギー性結膜疾患でも軽症から重症まで病気によって程度はさまざまです。
春季カタルは幼少期に発症します。瞼の裏(眼瞼結膜)に石垣のような凸(巨大乳頭)や角膜と強膜の境界(輪部)に堤防状の隆起ができるなど、結膜に増殖性変化を認めます。症状が悪化すると角膜に潰瘍ができ、時に視力が低下します。そのため、春季カタルは重症のアレルギー性結膜疾患です。一方、季節性や通年性のアレルギー性結膜炎は結膜に増殖性変化を認めません。角膜の病変がないため視力の低下はなく、軽症のアレルギー性結膜疾患です。

その他の「よくある質問」はこちら(アレルギーポータル)

治療

アレルギー性結膜疾患の治療の目標は、症状を最低限に抑えて日常生活を送ることができるようにすることです。治療は点眼薬による治療が中心です。症状が軽くなっても、完全には治っていないかもしれませんので、治療を途中で止めないようにしましょう。

1)点眼薬による治療

花粉症などの季節性アレルギー性結膜炎では抗アレルギー点眼薬を使います。通年性アレルギー性結膜炎やアトピー性角結膜炎、春季カタルでは通年にわたっての治療が必要です。抗アレルギー点眼薬に加え、春季カタルでは免疫抑制点眼薬やステロイド点眼薬を使用します。ステロイド点眼薬では副作用(眼圧上昇、感染症、白内障)の注意が必要です。
災害時のアレルギー治療薬[v03](allergyportal.jp)

2)その他の治療

点眼薬による治療に抵抗する重症例では、ステロイド薬の瞼結膜下注射やステロイド薬の内服、巨大乳頭切除術を行います。
重症の花粉症では、「アレルゲン免疫療法」を行うことがあります。

3)主治医

ご自分のアレルギー性結膜疾患について相談できる主治医をもちましょう。学問的な強い関心と専門知識を持ち、アレルギー診療の経験と実績があり、さらに高い水準で治療を進める能力のある医師を「アレルギー専門医」として日本アレルギー学会が認定しています。
主治医について詳しい情報はこちら

治療 Q&A

目をかゆがるのですが目薬はどうしたらよいですか?
抗アレルギー点眼薬は安全に使えますので、医師に相談してください。刺激の少ないものを処方してもらい、指示通りの回数で点眼します。
ステロイドの点眼薬はずっと点眼してもよいのですか?
ステロイド点眼薬の使用により眼圧が上昇することがあります。眼圧上昇は、ほとんどの場合は自覚症状がなく、長期間放置すると気づかないうちに緑内障に移行することがあります。
ステロイド点眼薬使用時の注意点
コンタクトレンズの上から点眼してもよいですか?
コンタクトレンズの上から使用できる点眼薬もありますが、かゆみや目やにがひどいときには、コンタクトレンズは中止しましょう。まぶたの裏の粘膜とコンタクトレンズがこすれて、炎症がひどくなるからです。
アレルギー性結膜炎の治療と対策 | 目についての健康情報 | 公益社団法人 日本眼科医会(gankaikai.or.jp)
花粉症の薬は、いつごろから使い始めたほうがよいのでしょうか。
抗アレルギー点眼薬を花粉飛散予測日の2週間程度前か、もしくは花粉症の症状が少しでもあらわれた時点で使用を開始します。早めに薬を使用することで花粉の飛散量が多くなった時期でも症状をコントロールしやすくなり、症状を抑えた状態でシーズンを送ることができます。
花粉飛散予測日などの情報も考慮しながら、早めに医療機関を受診するようおすすめします。
アレルゲン免疫療法とは何ですか?
アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少しずつ(微量)を定期的に身体に入れることで、アレルギー反応を和らげる治療法です。アレルギーそのものを治す、あるいは長期間抑えることができる効果があります。アレルゲンの投与方法には、薬剤を注射する「皮下法」と、口に含む「舌下法」があります。実施できる施設が限られていますので、医療機関で相談してください。

その他の「よくある質問」はこちら(アレルギーポータル)

自己管理

アレルギー性結膜疾患の症状はさまざまな悪化をもたらす因子の影響を受けます。治療と並行して、自己管理を続けることも重要です。ここにあるのはより良い治療を受けるためのヒントです。

1)点眼方法

アレルギー性結膜疾患の治療の基本である点眼薬は正しく点眼できないと期待する効果が得られません。手技の確認を行いましょう。

  1. せっけんと流水で手をよく洗います。
  2. 容器の先がまぶたやまつ毛、目に触れないように(下まぶたを軽く下にひき)、1滴を確実に点眼します。
  3. 点眼後はまばたきをせず、まぶたを閉じてください。

2)環境整備

身の回りのアレルゲンや症状の悪化をもたらす要因を減らす環境整備を継続して行うことが重要です。

室内ダニの除去

  1. 寝具対策
  2. 空気清浄機および家庭用電気掃除機の使用

花粉対策

  1. 花粉情報の活用
  2. 花粉防御用メガネやマスクの使用
  3. コンタクトレンズの装用の中止
  4. 洗眼
  5. 外出したときの衣服に付着した花粉を屋内に花粉を持ち込まない対策

自己管理 Q&A

雨が降ったあとの翌日が晴れだと症状が悪化するようなのですが、気のせいでしょうか。
雨天の場合、空中に浮遊していた花粉は雨とともに地面へ落ちていくため、花粉症の症状は軽くなります。しかし、雨が上がって地面が温められると、落ちた花粉は再び空中に巻き上げられるため、新たに飛散してきた花粉と合わせて通常よりも飛散量が多くなります。花粉の回避対策をしていないと症状が悪化するので、雨が上がって晴れるような日は、特に気をつけましょう。
花粉飛散時の外出時の注意点はありますか。
花粉は全身に付着しやすいので、頭髪は帽子で、目や鼻はメガネやマスクで、首はマフラーやスカーフで付着を防ぎ、花粉が付着しにくいような表面がツルツルした上着を選びましょう。また、帰宅時には、家の中に花粉を持ち込まないように玄関前などで花粉を払い、すぐに着替えて外気に露出した顔などを洗い流しましょう。
花粉症(アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎)
目の洗浄はしてもよいですか。
花粉やホコリなどの異物は、洗い流すのが効果的です。ただし、目は表面が涙で守られており、水道水で目を洗うことで細胞が傷つくことがあります。市販の洗眼液の利用が推奨されます。
花粉症(アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎)
引っ越しをしたのですが、どこの病院でアレルギーを診てもらえるかがわかりません。
各都道府県ではアレルギー疾患拠点病院が設置されてきています。アレルギーポータルにて各都道府県の拠点病院を調べることができます。また、日本アレルギー学会の検索サイトでは、ご自宅から近い場所や通院しやすい場所のアレルギー専門医を検索することが可能です。
日本アレルギー学会専門医・指導医一覧(一般用)

その他の「よくある質問」はこちら(アレルギーポータル)

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