一般社団法人 日本アレルギー学会

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第9回(2012年度)日本アレルギー学会学術大会賞受賞者

更新日時:2018年1月19日

第9回(2012年度)日本アレルギー学会学術大会賞受賞者

第9回日本アレルギー学会学術大会賞は、第24回春季臨床大会、第62回秋季学術大会において発表された研究業績を対象として、学会誌および学会ホームページで公募、応募者17名について、2013年3月11日の学術賞選考委員会にて選考を行い受賞候補者5名を選出、5月10日の理事会において、下記のとおり受賞者を決定しました。
授賞式は、5月10日第25回春季臨床大会時の社員総会にて行われました。

受賞者(敬称略 五十音順)

大澤雄亮(東北大学大学院薬学研究科生活習慣病治療薬学分野)
「慢性皮膚アレルギーにおけるヒスタミンH1及びH4受容体の関与」
  ◆受賞論文:Allergology International Vol.63 No.4掲載
受賞理由:慢性アレルギー性皮膚炎モデルマウスを用い、従来のヒスタミンH1受容体拮抗薬にH4受容体拮抗薬を併用することによる治療効果を新たに示した。さらに、マウス骨髄由来肥満細胞を用いて、特異IgE抗体感作後の刺激試験で産生されるTARCの抑制にはH4受容体拮抗薬が有効であることを示すなど、慢性アレルギー性皮膚炎の病態にH4受容体が関与することを示し、経口投与可能な、アトピー性皮膚炎に対する新薬開発に有望である点が評価された。
金光禎寛(京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学)
「吸入ステロイド治療下喘息患者における呼吸機能低下に関与する因子の検討」
  ◆受賞論文:Allergology International Vol.63 No.2掲載
受賞理由:気道リモデリングに関与することが示されているペリオスチンの役割に注目し、多施設共同研究により4年以上吸入ステロイド治療を受けている成人気管支喘息患者多数例を対象として、血清ペリオスチン濃度が経年的な呼吸機能低下の程度に関わるか否かを検討したものである。血清ペリオスチン濃度の高い群は、明らかにFEV1の低下率が多いという結果を示した点、新規性に富むものである。
加畑宏樹(慶應義塾大学医学部呼吸器内科)
「ナチュラルヘルパー細胞はTSLPによりステロイド感受性が低下する」
 ◆受賞論文:アレルギー Vol.64 No.1掲載
受賞理由:吸入ステロイドによってもコントロールが困難な重症喘息の病態について、発現が亢進しているIL-33及びTSLPの作用に注目して動物実験を行った研究である。IL-33の経鼻的投与によってマウス肺内ではナチュラルヘルパー(NH)細胞の増加とIL-5、IL-13の産生亢進などを認めた。OVA喘息モデルではNH細胞の増加は無かったがIL-33の気道内投与によってNH細胞が誘導された。その他の系でもIL-33とNH細胞の喘息病態への関与を示しこれらはデキサメサゾン投与により抑制されるが、TSLP存在下ではその抑制効果が減弱することより、TSLPの病態への関与が示された。さらにTSLPはNH細胞のSTAT5リン酸化を誘導することも示した。これら一連の動物実験結果より難治性喘息の病態解明と新規治療薬開発への展望を示したことが評価された。
坂下雅文(福井大学医学部附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
「アレルギー性鼻炎治療効果に相関するバイオマーカー」
  ◆受賞論文:アレルギー Vol.63 No.6掲載
受賞理由:スギ花粉症を対象として、その症状の改善を客観的に評価する指標として、鼻腔NO、DAF、C3a、IL-17A、ApoA4をバイオマーカーとして選択し、花粉飛散時期、非飛散時期、健常対象者においてそれらを測定した。著者等の研究の背景にはこれらのマーカーが変動するという結果があり、本研究においては最新の遺伝子解析やタンパク発現解析の手法も用いて、改めてそれらがマーカーとして使用できる見通しを示した。特にDAF遺伝子のSNP解析によって発症リスクに関与するアレルの発見や、舌下免疫療法の経過中にC3a、IL-17の低下を発見するなど、今後の臨床応用に展望を示した点が評価された。
広田朝光
(理化学研究所統合生命医科学研究センター
疾患多様性医科学研究部門呼吸器・アレルギー疾患研究チーム)
「アレルギー疾患のゲノムワイド関連解析の現況」
 ◆受賞論文:アレルギー Vol.64 No.7掲載
受賞理由:アトピー性皮膚炎の遺伝的要因を明らかにするために実施されたゲノムワイド関連解析(GWAS)の結果から、日本人において新規関連遺伝子領域が8カ所同定された。それぞれにはいずれも複数の有力な候補遺伝子が含まれることが明らかにされた。さらにそのうち4カ所の候補領域は気管支喘息の関連領域であることが既に明らかにされていることより、二つの疾患に共通する遺伝要因があることが示された。貴重な日本人におけるデータであり、世界的にも高い評価を受けている。

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